3月最初の日曜日、日本海側の山岳エリアでは猛吹雪。冬と春の天気を行ったり来たりしながら暖かくなっていき、新雪が名残惜しくも春の光が待ち遠しくもある季節だ。
2022年2月(山梨県警発表)の山岳遭難発生状況を振り返り、山梨県在住の登山ガイドである渡辺佐智が県警地域課へのインタビューを行い、遭難事故データをもとに2月の傾向を解説していく。
■2022年2月の山梨県の遭難
山梨県の2月の遭難件数は5件であった。先月から1件減少し、年間の動向で見ると少ないまま推移した。まん延防止等重点措置が隣県(東京、神奈川)で発出されているためかと考えたが、緊急事態措置がとられていた昨年、2021年2月は8件であった。
今月は大菩薩・道志エリアでの遭難が目立った。倉見山(1,256m)、馬立山(797m)、石割山(1,412m)と比較的低標高帯で積雪が少なく、関東からアクセスのよい山で発生している。遭難者の居住地別でみると、東京1件・神奈川3件・千葉1件の全5件だった。
■冬季の道迷いは積雪、早い日没により、夏より複雑
先月0件だった道迷いが、2月は3件となり全て下山中に起きている。降雪中やその直後のノートラック(先行者の足跡が雪で消えている状態)で道に迷う場合と、雪上に残された間違った足跡に吸い込まれて迷う場合と、両パターンあった。夏に比べて、雪にかくれた地形をみる読図力や、早い日没に対応する計画力が試されるのが冬の登山である。ルートファインディングに自信がなければ、ガイド登山で経験値を上げるのが近道だ。