2022年新しい年を迎え、甲府盆地からは南アルプスのモルゲンロートがとても美しい。2021年12月(11月26日~12月31日、山梨県警発表)の山岳遭難発生状況を振り返り、今年もいい登山ができるよう考えていきたい。山梨県在住の登山ガイドである渡辺佐智が県警地域課へのインタビューを行い、事故データをもとに先月の傾向を解説していく。
※2022年から月末区切りとするため、今回のデータの参照は2021年11月26日から12月31日分とした。
■2021年12月の山梨県の遭難
山梨県の12月の遭難件数は12件あり、11月の15件(10月26日~11月25日)に比べて微減した。例年12月の遭難件数は、減少する傾向がある。年末で多忙なことや、無積雪期から積雪期の端境期にあたり装備も変わり登山が難しくなるため、入山者数が減っているのではないかと考えられる。
私自身、12月は雪山への切り替え強化月間と考えており、装備の変更だけでなく、雪崩ビーコンなどの使用方法を実地確認したり、読書で頭のスイッチを雪山に切り替えて、ハードルを下げた雪山登山からスタートすることにしている。
■落葉や降雪により登山道が隠れると
12月も道迷いが一番多かった。落葉や降雪により登山道が隠れると、人はどうしても、他人のトラック(歩いた跡)に引っ張られがちになる。地形的に間違えやすい登山道(例えば、方角が大きくかわるところや、尾根や沢から外れるところ)は、たくさんの人が間違えるので、誤った道がくっきりと痕跡を残していき、悪循環になる。そういった場所は、地図読みができる登山者なら事前に把握できるが、読めない人の場合は、こまめな現在地確認と、誤った場合すぐに戻るという心構えが必要だ。