何かと話題になる山岳遭難。山梨県内の山岳遭難の通報のうち、遭難扱いされなかったケースのデータをもとに登山者にできることを考えてみよう。(山梨県警収集データ、期間:2021年 8月1日~10月18日)

■遭難扱いにならなかった通報

遭難28件、遭難扱いされなかった16件『山梨県警収集データ、期間:2021年 8月1日~10月18日』

 通報されたが救助準備中や現場での捜索中に遭難者当人の所在がわかり、遭難扱いにせず解決しているケースは通報全体の3分の1程度あることがわかる。連絡のつかなかった当人に連絡がついて居場所がわかったり、下山をしていたりする場合は、遭難扱いにならない場合が多い。

■通報は誰から?

通報者と遭難者の関係、家族10件、本人3件、友人2件、第三者1件『山梨県警収集データ、期間:2021年 8月1日~10月18日』

 遭難扱いにならなかったケースの通報者は家族が多い。「登山に出掛けた夫(または家族)が帰宅しない」「夕方には下山すると言っていた夫と連絡がとれない」といった内容の通報は、家族からの通報10件中、8件あった。その8件は16:30〜21:00頃に通報されている。心配する家族の心情を察するに余り有る時間帯だ。

■通報の内容

通報の内容、連絡がとれない・帰宅しない8件(通報者:家族)、登山中はぐれた4件(通報者:同行の家族、同行の友人)、動けない(通報者:本人)、誰かが滑落した音を聞いた(通報者:第三者)『山梨県警収集データ、期間:2021年 8月1日~10月18日』

 2番目に多い登山中にはぐれた、という通報が気になった。登山中はどんなにペースが合わなくても一緒に行動し、たとえ途中で喧嘩をしても一緒に下山をするのが、山の行動のベースだ。登山中たまに、「子供が通りすぎませんでしたか?」「先に男の人が下りてきませんでしたか?」などと聞かれることがある。街中では途中で一度別れてまた会うことは普通だが、そのいつも通りの気軽な行動は山の中ではとても危ない。