■黄金色の湿原広がる山頂部、秋空を映す水鏡が輝く
急登が終わると景色が一変します。陽光に照らされた台地の上に出ると視界が開け、遮るもののない開放的な高層湿原が広がっていました。
抜けるような青空の下、黄色とも黄金色とも見える草原が輝いていて、点在する池塘は、澄んだ空の青をそのまま写し取った水鏡のよう。天上の楽園のような光景に、ここまでの疲れが一気に吹き飛びました。歩きやすい木道を進みながら、途中で何度も足を止めて辺りを見渡します。少し歩くたびに移り変わる景色。振り返ると、緩やかに蛇行しながら延びる木道、湿原の向こうに周囲の山並みが浮かび上がっています。
和山からの登山道と合流した先の樹林帯では少し悪路になります。大きな岩の上を行くようになり、滑りやすく歩きづらい道がしばらく続きます。
山頂近くにある苗場山自然体験交流センター(苗場山頂ヒュッテ)。チップ制でトイレも利用できます
その先、再び景色が開けると「龍ノ峰」方面への分岐があり、木道は緩やかな斜面を登っていきます。なだらかにうねる地形。木道にはときどき休憩用のスペースが設けられており、ベンチもあります。山頂に近づくと他のルートからの道も合流して賑わいが増しました。「苗場山自然体験交流センター(苗場山頂ヒュッテ)」まで来ると、苗場山山頂はすぐそこです。灌木と草原、そして点在する休憩スペースには多くの登山者たちが休んでいます。あまりに牧歌的な眺めに、ここが標高2,000mの高地であることを忘れてしまいそうでした。
■山頂に別れを告げて彩り鮮やかな森へ
さて、名残惜しいですが、明るく広がる湿原に別れを告げて下っていきます。下山は事故も多いので要注意です。日が一番高い時間でしたが、急斜面は日陰のままでした。
斜度が緩くなると森は明るくなり、朝とは違った景色が待っていました。秋の光に華やぐ木々。幹が湾曲したダケカンバの葉は黄色く輝いています。巨木に絡むツタウルシの紅が艶やかな装いです。尾根道を彩るブナの黄葉は絢爛で眩しいほどで、何度も立ち止まってはシャッターを切ってしまいました。そんな景色を眺めつつ歩いていると、気持ちまで明るく弾んでしまいます。
駐車場に着いて靴を脱いでいると、泥だらけの登山者も多く見かけました。滑りやすい斜面に苦労したのでしょう。思った以上に下りは時間がかかりますので、余裕をもった計画を立てた方が良さそうでした。
山の秋は駆け足で深まっていきます。次はどこへ行こうか、計画を練っているのも楽しいひとときですね。