梅雨明け前から続く異例の猛暑には辟易しますね。こんなときこそ下界を離れて涼しい山の上へ。しかし風の通らない樹林帯は蒸し暑く、森林限界を超えれば照りつける日差しで参ってしまいます。さらにハードな運動を伴う登山こそ暑かったり、逆に寒すぎたりとなかなか過酷な環境です。

 それでも山に出かけるのは、山頂に立ったときの達成感? 広がる景色や可憐な花々が目当て? それとも日常からの脱却、リフレッシュでしょうか。

 南アルプス(赤石山脈)、日本第2位の高峰「北岳」への登山のレポートです。雨にこそ降られなかったものの、タイミング悪くガスに覆われた2日間でした。

■日本第2位の高峰、南アルプス北岳へ!

北岳山荘方面から望む北岳(過去写真)

 山梨県南アルプス市、南アルプス北部に位置する北岳は、富士山に次いで日本第2位の標高となる3,193mで、南に連なる同じく百名山の「間ノ岳」と二百名山「農鳥岳」と合わせて“白峰三山(しらねさんざん)”と呼ばれています。山頂直下、東側の大岩壁「バットレス」も迫力があります。

 また、北岳周辺は高山植物の宝庫としても有名です。固有種の「キタダケソウ」を始め、美しい花々が登山者を魅了します。雪解けの後、花々が次々と開花していく様子を季節の移ろいとともに楽しめる名山です。

■久々の北岳、暑すぎる前半戦! 長丁場の登りに体力を削られる

野呂川に架かる長い吊り橋。高度感があります

 実は今回の山行は友人ガイドの下見に付き合わされた形でした。ルートは「広河原」を起点に「白根御池小屋」、「草すべり」から「小太郎尾根」を辿り北岳山頂へ。「北岳山荘」で宿泊した後に「八本歯のコル」から“左俣コース”にて下山する1泊2日の行程です。

 筆者は何度も歩いたルートでしたが、久しぶりに北岳周辺の山岳景観と花々の写真を撮りたくて同行しました。

 山行直前までは一番の好天に恵まれそうでしたが、前夜の天気図では雨に降られないまでも若干不安定そうな様子でした。はたして絶景と出会えるのでしょうか。期待と不安に苛まれながら眠りにつきました。

 広河原から吊り橋で野呂川を渡り森のなかへ。最初こそ緩いものの、途中からはひたすら急登が続きます。とにかく蒸し暑く、体力がじわじわと削られていくのを実感します。ときおり吹き抜ける風は乾いていて、かろうじてクールダウンできます。

登山者で賑わう「白根御池小屋」。補給地としてもありがたい存在です

 暑さのせいでずいぶんと長く感じましたが、コースタイムよりわずかに早く「白根御池小屋」へ。冷たい水を補給しつつ、マンゴーとココナッツのジェラートの誘惑に負けました。「水を汲ませてもらったし」と言い訳しながら舌鼓を打つ至福のひとときでした。

 草スベリへ。小屋から離れるにつれ高度感が増していきます。ときおり差す日差しに嬉しくなりますが、今度は熱中症が心配です。ここまでやや早めだったため、ペースを調整するとともに適宜水分を補給しますが、残量もありますので無駄に飲みすぎるわけにもいきません。

※広河原から北岳山荘までの今回の水分量は、用意してきた1.5Lに加えて小屋で補給させてもらった1Lで合計2.5L。実際に消費したのは1.8L程度でした(体重約70kg、行動時間7時間40分)。