季節は夏から秋へと移りつつあります。外で活動するにも快適な季節がやってきました。あいにく、台風と秋雨前線の影響で雨が降り続いていますが、その影響をあまり受けていないエリアもあります。
風なく穏やかな日、晴れたりガスに覆われたりと目まぐるしく変わる天気。予想以上に美しく幻想的な景色と出会えた山歩きでした。
■越後山脈のほぼ中央に位置する「浅草岳」
天気予報と睨めっこしながら選んだのは「浅草岳」。米どころ新潟県魚沼市と福島県只見町との境界に位置している標高1,585.5mの山です。越後山脈のほぼ中央に位置しており、北西側は整った山裾を広げていますが、冬に風下となる南東斜面は雪崩に浸食されて険しい断崖絶壁となっており、非対称な地形が特徴のひとつとなっています。
山頂付近は草原となっており、湿原には池塘(ちとう)もあります。広がる草原を“浅い草”と見立てたことが山名の由来といわれています。北西には「守門岳(すもんだけ)」、南東には「田子倉湖」があり、晴れた日には山頂からの眺望が良い、日本三百名山です。ヒメサユリの宝庫としても知られおり、花が見頃になる6月中旬~7月上旬にかけては多くの人が訪れます。
長野県に住む筆者ですが、移動も含めてそれほど遠くない範囲で登山できそうな山を探していました。当日の天気はもちろんですが、それまでに雨が激しく降っている山は危険が増大します。雨雲レーダーも含めて毎日暇さえあれば、天気の動向をチェックしていました。北日本の日本海側は比較的穏やかに推移しており、そのエリアに的を絞りました。
なかでも、筆者自身は積雪期にしか登ったことがなく、夏山の様子が気になっていた浅草岳に白羽の矢を立てたのでした。
いくつかある登山道のうち、今回は新潟県側の「ネズモチ平登山口」からの入山し、帰路は前岳から「桜ゾネ登山口」を経由する周回ルートを予定しました。登りの途中からは急登が続くものの、山頂までの最短距離となる人気のルートです。状況が思わしくなければ引き返すことも計画に盛り込んでいます。
■森歩き、差し込む光に心躍る!
当日の早朝、山へと向かう道中は層雲のなかでした。明るい霧はやがて穏やかに晴れていき、山の奥から差し込んでくる朝日はあまりに美しく、途中で二度車を停めて撮影してしまうほどでした。道は途中から細くなり、やや不安を覚えましたがほどなく行き止まりとなり、広い駐車場に到着しました。トイレもあり、身支度を整えて出発です。
林道を少し歩くとネズモチ平登山口が左手に出てきます。
しばらくは樹林帯のなか。夏も終わろうとする森は落ち着いたトーンです。すると光が差し込み始めました。天気予報どおりなのですが、湿気が残る山中はもっと天気の回復が遅いと思っていたので、これは嬉しい誤算です。
見晴らしのいい稜線直下まで早く行きたくて気が急いてきます。濡れて滑りやすい登山道。わずかですが難所もあるので無理は禁物です。ペースはそのままで維持しながらも、上擦った気持ちは抑えられません!
途中から斜面の傾斜が急になり、ときおり小さな岩場も出てきます。視界が開ける場所が何か所かあり、振り返ると守門岳が裾野を広げて鎮座している姿が見事な眺め。