秋の訪れとともに、山々は一年で最も華やかな季節を迎えます。

 「秋の山って、どうしてこんなに美しいんだろう」

 毎年、どこの紅葉を見にいこうかと悩むのも、この季節ならではの楽しみです。ひと口に紅葉といっても、山によってその表情は実にさまざま。歩くほどに移り変わる景色や、刻々と変化する山肌の色彩も楽しみのひとつです。山の紅葉はあっという間であり、だからこそ素晴らしい景色に出会えた感動は何年経っても忘れられないものです。

 今回は、これまで私が実際に歩いて出会った秋の絶景の中から、特に印象深い5つの山域をご紹介します。

■【栗駒山】山肌を埋め尽くす「神の絨毯」

オレンジ色の鮮やかな神の絨毯

 紅葉登山と言えば、やっぱり栗駒山の「神の絨毯」! 宮城県・岩手県・秋田県の三県にまたがる栗駒山(標高1,627m)は、紅葉のスケール感が魅力でどこを見ても美しい。

 背の高い樹々が無く、山肌一面に大きな絨毯を敷き詰めたよう。稜線に出ると自分のいる場所から山全体が見渡せ、全てが秋色に染まっているんです。東栗駒山から栗駒山、須川温泉方面など歩き回ってみましたが、どこを歩いても景色が見渡せるので贅沢な時間でした。

■【火打山】黄金色に染まる湿原

メルヘンなおとぎ話の火打山の池塘

 新潟県妙高市にある火打山(標高2,462m)は、日本百名山の一つ。火打山の秋で私が好きなのは、高谷池周辺に広がる草紅葉です。山の紅葉というと、赤や黄色に染まった樹々を思い浮かべる方も多いと思いますが、ここはちょっと違います。湿原の草が黄金色に変わり、そこに大小の池塘(ちとう)が点在するなんとも美しい景色。そこに三角屋根の高谷池ヒュッテ。おとぎ話の世界のようで、こんな穏やかな秋の景色もいいなぁと思うんです。

 ここでのんびり過ごしたくなります。この先へ進むと、池塘に火打山の姿が映ることでも知られる「天狗の庭」もあります。私にはハウルの世界に見えるんです。