■今シーズンの大きな違い! 「白馬乗鞍岳の大斜面にはロープがありません」

大きな修復は手軽に行えないので、現場にあるもので手直ししています

 ルートの状況はおおむね例年通りで、とくに気になった箇所は、可能な限りで手直ししてあります。

 この夏の大きなニュースとしては、白馬乗鞍岳の大斜面のロープがないこと。標高差は200mほどですが、タイミングによってはかなり急な斜面です。登りは大丈夫でも下るのが困難なことが多いのがこの場所です。アイゼン、そしてピッケルの使用を強くお勧めします。

 もちろん程よい雪の状態であれば登山靴のままでも登下降できる場合もあります。または軽アイゼンやチェーンスパイクでもコンディションと技量次第では無事に通行できるかとは思います。しかし、雪渓の状況は刻一刻と変化します。夏に向けて溶けていくにつれ傾斜も変わりますし、一日のなかでも日射や気温の変化で状態は変わります。一歩、わずか数センチの足の置き場を気遣えるかどうか……。

白馬乗鞍岳の大斜面の中間部。雪が程よく緩むと歩きやすいですが、硬くても柔らかすぎても滑りやすいので、下りはとくに用心

 ちなみに筆者の場合は「若いとき」は下りでもアイゼンは必要ありませんでした。しかし年齢とともに明らかにバランスが悪くなっているのを感じてアイゼンを使用しています。周りの組合のメンバーを見渡してもごく一部を除いて、示し合わせたわけでもないのに、アイゼン(軽アイゼンではない)を着用しています。

 今後の気温や降雨次第ですが、しばらくは大部分雪上をいくことになります。

白馬山荘から眺める、朝日を浴びた杓子岳、鑓ヶ岳

 栂池高原のゴンドラとロープウェイを利用することで、一気に標高約1,900mまで上がることが可能な人気ルート。しかし白馬岳までの行程は長い道のりです。午後の早い時間に目的地まで到着できるよう、暑さやメンバーの足並みを鑑みて余裕をもった計画、行動を立てることが安全登山への第一歩ですね。