燕岳(つばくろだけ)は長野県安曇野市(あずみのし)にある標高2,763mの山で、日本二百名山・新日本百名山に選ばれている。「北アルプスの女王」と呼ばれる優美な山容が特徴だ。
山頂周辺は白い花崗岩(かこうがん)と砂礫、ハイマツの緑が美しく、イルカ岩やメガネ岩などの奇岩も点在する。夏にはコマクサが咲き、景観に彩りを添える。
稜線からは槍ヶ岳など北アルプスの大展望が広がり、北燕岳まで足を延ばせば静かな稜線歩きも楽しめる。
合戦尾根(かっせんおね)は急登だが整備されており、ベンチや山小屋も充実。体力に自信がついたら北アルプスデビューにも適した山である。登山者に絶大な人気を誇る燕山荘での滞在も魅力の一つだ。
●中房温泉バス停へのアクセス
公共交通では、JR大糸線・穂高駅などから季節運行の中房温泉行き定期バスを利用する。バス停から燕岳登山口までは目と鼻の先だ。
マイカーの場合は、登山口周辺の予約制有料駐車場や無料駐車場を利用できる。ただし、夏の週末は早朝から混雑必至の激戦エリアだ。マイカー・公共交通機関いずれにせよ、運行日、時刻表、道路状況、駐車場の空き状況は出発前に確認し、余裕を持って出発したい。
【中房温泉バス停から燕岳・北燕岳往復コース】所要時間
(1日目)
中房温泉バス停(0:00)→ 第1ベンチ(0:40)→ 第2ベンチ(1:20)→ 第3ベンチ(1:50)→ 富士見ベンチ(2:30)→ 合戦小屋(3:00)→ 燕岳(4:30)→ 北燕岳(4:45)→ 燕山荘(5:30)
歩行距離:約6.2km
累積標高差:登り 1,478m、下り 231m
所要時間:5時間30分
(2日目)
燕山荘(0:00)→ 合戦小屋(0:45)→ 富士見ベンチ(1:10)→ 第3ベンチ(1:40)→ 第2ベンチ(2:05)→ 第1ベンチ(2:30)→ 中房温泉バス停(3:00)
歩行距離:3.8㎞
累積標高差:登り14m、下り1,260m
所要時間3時間
■コマクサと大絶景の燕岳・北燕岳へ! 1泊2日登山レポ
今回筆者が歩いたのは、中房温泉から合戦尾根を登り、燕山荘に宿泊して燕岳と北燕岳を往復する定番コースだ。2日間の総距離は約10km、累積標高差は登り・下りともに約1,492m。休憩や燕山荘での滞在を除く記録時間は8時間30分だった。急登が続くため、各ベンチや山小屋で休みながら一定のペースを守ることが重要である。
●いきなり始まる合戦尾根の急登! 第一ベンチまで約40分
中房温泉バス停から中房登山口へ向かい、早朝から登山を開始した。登山道へ入ると、北アルプス三大急登の一つに数えられる合戦尾根の登りがすぐに始まる。樹林帯の道は整備されているものの、木の根や段差が多く、序盤から息が上がりやすい。速度を上げず、歩幅を小さく保って進むことが大切だ。燕岳登山口から約40分で最初の休憩スポット、第1ベンチに到着する。
●4つのベンチを目標に一歩ずつ! 富士見ベンチまで約1時間50分
第1ベンチからは、第2ベンチ、第3ベンチ、富士見ベンチを順に目指す。第1から第2までは約40分、第2から第3までは約30分、第3から富士見ベンチまでは約40分が目安だ。
区間ごとに広々とした休憩用ベンチが設けられているため、長い急登でも目標を細かく区切りやすい。樹林帯が続き、展望は限られるが、少しずつ標高を上げていく充実感がある。
●合戦小屋名物のスイカで回復! 燕山荘までは休憩込み約2時間
富士見ベンチから約30分で、標高約2,381mの合戦小屋(かっせんごや)に到着する。夏の名物は、冷たくみずみずしいスイカだ。急登で火照った体に染み渡り、山頂稜線へ向けた大きな活力となる。
小屋を出ると合戦沢の頭を経て視界が徐々に開け、北アルプスらしい景色へと変化する。休憩を含め、富士見ベンチから約2時間で燕山荘に到着した。