■空中での華麗な狩猟シーンの撮影に成功!
別の日には、ダム湖でその姿を見つけました。チョウゲンボウが岸沿いを低く飛ぶと、それに驚いたのかトノサマバッタが飛び出しました。それを見つけるや否や、素早く旋回して獲物にロックオン! この素早い飛行テクニックがチョウゲンボウの持ち味です。
そして、バッタが草むら逃げ込まないように下から上へと追い上げるという心憎いばかりのテクニックを披露。こうなると、もうトノサマバッタに逃げ道はありません。次の瞬間、チョウゲンボウは体をひねらせて足を突き出し、トノサマバッタをガッチリ捕まえたのです。アクロバットな動きに思わず感嘆の声を上げながらシャッターを押していました。
その後、「どんなもんだい!」と言わんばかりのドヤ顔で止まり木に向かって飛んでいくチョウゲンボウ。人里の生態系のトップに立つ威厳に満ちていました。
■ちょっと恥ずかしい意外な一面も目撃
チョウゲンボウのかっこいい姿ばかりを紹介してきましたが、そうではない一面ももちろんあります。
高速道路のIC入り口付近でのことです。「進入禁止」の交通標識の上に止まって安心していたところ、急に背後から車が向かってきました。意表をつかれたチョウゲンボウの驚いた表情といったらありません。慌てて飛んで逃げていく姿に、私は一人笑い声をあげたのでした。
また、別の日には、気持ちよさそうに滑空していたチョウゲンボウを発見。すると突然、脚をだらんと下げました。脚が疲れたのかな? と思ったら、脱糞をしたのでした。白い糞が青空を静かに落下していくのがよく見えました。通常なら、もっと液状の長い糞をするのですが、この時はほんのちょっぴりだけでした。脚を下げるのは、自分の糞で足が汚れるのを防ぐため。恥ずかしい瞬間を目撃してしまいましたが、チョウゲンボウならではの清潔感の表れでもありました。「ちょっと見ないでよ」と言いたそうにこちらを見るまなざしがファインダーを通して伝わってきました。
人里のハンター「チョウゲンボウ」。皆さんも、秋の空を見上げて、身近なハヤブサを見つけてみてはいかがでしょうか。