今や日本で最も人気な野鳥と言えば「シマエナガ」であることに異論を唱える人は少ないでしょう。グッズやアパレルがあふれるほど販売され、テレビでは、シマエナガダンスがシマエナガ体操にまでバージョンアップされるなど、その勢いはとどまるところを知りません。これほどの高支持率は、政治家もうらやむほどかも。
しかし、バードウォッチング歴が50年近くなる私であっても、まだ“リアル”シマエナガを見たことはありません。それは、シマエナガが北海道にしかいないからです。
ところが、シマエナガに酷似しているかわいいエナガが千葉県にいるらしいのです。そこで、さっそく現地取材に向かうことにしました。
■シマエナガ似!? チバエナガとは
もともと日本には「エナガ」がいるのですが、「シマエナガ」は、そのエナガの亜種です。エナガとシマエナガの大きな違いは、眉(過眼線)の濃さです。エナガは、濃くクッキリとした眉を持っていますが、シマエナガの顔は純白。その愛らしい顔にハートを射抜かれた人が多いはず。
一方、「チバエナガ」は、千葉県北西部付近を中心に生息していて、普通のエナガより明らかに眉の色が薄い“シマエナガ似”となっています。亜種ではなく、単なる地域変異と考えられていて、シマエナガの人気に便乗して、いつの間にかその愛称が口コミで広がったのだと思われます。
では、なぜ千葉県付近にだけ眉の薄いエナガが生息しているのでしょうか。縄文時代に海水面が上昇した頃、千葉県の辺りは海水が入り込み、島となっていました。そこで生まれた眉の薄い個体群が、本州と陸続きになった後も、他の土地へあまり進出せずに現在に至っていると考える研究者もいるようです。
■訪れる人も少ない静かな里山の公園
チバエナガは今では千葉県全域で確認されているようですが、千葉に生息しているエナガが全て眉の色が薄いチバエナガというわけではなく、普通のエナガの中に混ざっていることが多いようなのです。そこで、地元で野鳥をよく観察している「豆大福さん」に遭遇率の高そうなポイントを案内していただくことにしました。
訪れたのは県北西部にある静かな公園です。平日の朝は散歩をする人も少なく、葉が落ちる乾いた音がよく聞こえてきます。池には、カモやシラサギなどの野鳥がのんびりたたずんでいます。
冬はエナガをはじめ、シジュウカラ・メジロなど複数種の野鳥が群れとなる「混群」を作り移動をします。そのため、大きな群れに遭遇できれば、比較的チバエナガを観察しやすいはずです。