■南方熊楠が残した自然の恵み
ちなみに、世界的博物学者として著名な南方熊楠氏は、田辺に住み、生涯研究を重ねた人物です。彼の尽力もあり、和歌山には多くの豊かな森が残され、そこから流れ出す美しい清流には多くの生き物が生息しています。
その代表格である鮎は、海の魚とはひと味違う美味しさと季節感を兼ね備えている川ならではの味覚。備長炭の遠火でじっくりと時間をかけて焼き上げた鮎の塩焼きは、骨まで丸ごと食べられる絶品でした。
また、この秋は松茸をはじめとするキノコ類の時期でもあります。こちらは、ホイル焼きにしてみたところ、ホイルを開けた瞬間に広がる香りの素晴らしさにおののいてしまうほどでした。
他にも周辺には、龍神村の椎茸や熊野牛など、備長炭で焼くだけで美味しく食べられる名産品が豊富です。食材が豊かな地域でキャンプをする際には、凝った料理もいいですが、シンプルに炭火で焼いて食材を味わうアウトドア料理をおすすめします。
最後に南方熊楠氏の名言を一つ。私はこの言葉を、生き方のお手本にしています。
『宇宙万有は無尽なり。ただし人すでに心あり。心ある以上は心の能うだけの楽しみを宇宙より取る。宇宙の幾分を化しておのれの心の楽しみとす。これを智と称することかと思う』