いわゆる「キャンプダッチオーブン」には、子供の頃から憧れがあった。

 しかし、私の旅は自転車や登山で山を移動したり、カヌーやカヤックで川や海を旅するスタイルが中心。自分で背負ったり、船に載せるにはこのタイプのダッチオーブンは重くて使えないから、オートキャンプをしない自分には必要ないと思っていた。

スキレットはその特性から、ダッチオーブンの1種と考えることもできる

「でも、やっぱり欲しいよなあー」

 グズグズとそう思っていた欲求を満たすために、私が初めて買ったダッチオーブンがロッジの「コンボクッカー」だ。これは蓋が浅めのスキレットになっている片手鍋で、蓋に炭が乗せやすいよう縁が高く設計されたキャンプダッチオーブンよりもだいぶ軽いが、同じような調理が楽しめる。

 当時のものは現行モデルに比べると蓋の縁の高さは半分ほど。自宅で使っている時はあまり不満は感じなかったが、友人に誘われてキャンプに行ってこの蓋スキレットで料理をすると、「この縁の低いスキレットでは調理の用途が限られるなぁ」と感じたものである。

ガス火も直火もなんのその

 そこで、すぐにしっかりと縁のある単体のスキレットを購入した。これは用途が広く、キャンプ以外にも毎日のように家で使っていた。

 ハムエッグやトーストを焼くのにも役立つし、パンケーキや餃子も美味しく焼き上げられる。蓄熱性の高い鋳鉄製なので、焼きムラが少なくていい。さらに蓋があれば、大きな肉でなければロースト料理もできる。スープもご飯も炊ける、非常に万能なパンなのだ。

深さがあるタイプはスープにも