■「サイクリストの聖地」和歌山県

 和歌山県には、総距離800kmを誇る「WAKAYAMA800」という名サイクリングコースがあり、自転車好きの間では「サイクリストの聖地」として知られている。千葉県の銚子市から神奈川県、静岡県、愛知県を通り、三重県経由で和歌山県和歌山市まで繋ぐ、およそ1400kmに及ぶ壮大な自転車道構想「太平洋岸自転車道」の一部でもある。

今回の旅は海からスタート。田辺扇ヶ浜海水浴場の青い海を眺める

 海沿いを繋ぐ道はどちらかというと初心者向け、山間の道はアップダウンが多いため上級者向けと、選べるルートのバリエーションも豊富だ。

 また、今年の10月には特急くろしおが、白浜駅から新宮駅までの間、専用カバーのみで自転車を載せられる「サイクルトレイン」を開始したことでも話題を呼んでいる。

■大都市圏からのアクセスが意外にいい和歌山県

林立する杉の中はひんやり。舗装路もきれいで走りやすかった

 そんな和歌山県の田辺市が、今回の旅先である。現在の田辺市は、平成の大合併で田辺市、龍神村、中辺路町、本宮町、大塔村の5つの市町村が1つとなって誕生した近畿で一番広い自治体。和歌山県のちょうど真ん中にあり、古くから交通の要衝として栄えてきた場所でもある。

秋津野エリアはみかんの名産地。エリアには至る所に農園が広がっている

 この街までのアクセスは、東京から電車で行くと約5時間、車で行くと7時間以上もかかってしまうが、羽田空港から南紀白浜空港行きの飛行機に乗れば、わずか1時間15分。つまり、朝一の便に乗れば、9時台には走り始められてしまう。じつは、車に自転車を積んで関東近県に出かけるより、圧倒的にラクなのだ。

 大阪からも車なら約2時間でアクセスが可能。秋冬も比較的温暖なので、これからの季節でも海沿いのライドが可能だ。

熊野古道の中でも「中辺路」と呼ばれるルート
熊野参詣道中辺路沿いには神社仏閣が多数。道中で富田川に面した稲葉根王子神社を訪れた