■登山届の大切さ

山岳遭難発生状況、発生件数6件、遭難者数6名、死亡2名、負傷者2名、行方不明0名、無事救助2名『山梨県警発表、2022年1月1日~1月31日』

 6名の遭難者のうち、単独の登山者は4名であった。単独のうち3名は登山届の提出は“なし”となっている。

 近場の山に行く場合、わざわざ登山届を提出しなくてもよいのではないか、と考える人がいると聞く。単独で登山届がなく誰にも入山を伝えていない場合、捜索が開始されるまでに相当時間がかかる。コロナ禍に入ってから、私は近所の裏山に行く場合でも必ず家族に伝えて、下山報告が何時までになければ“捜索願い”を出してほしいと連絡することにしている。

■低体温症予防は、汗冷え対策から

 冬季の登山は、動いている時と止まっている時の体感温度の差がとても大きい。ペースを上げれば汗をかき、それは汗冷えを経て、低体温症の原因になる。また、行動中でも、日が陰ってきた途端にぐっと寒くなるのを感じることはよくある。冬は特に肌のすぐ上に着るインナー(素材)選びは重要だ。私はその日の発汗量が少なそうな時は“メリノウール(※1)”を、多そうな時は水分を含まない素材でつくられ汗戻りのない “機能性化繊(※2)”のものを選んでいる。特に冬季は後者の選択が多い。

 山中ではウエアによる体温調整を面倒くさがらずに行うことが大事だ。行動中はこれが案外できそうで、できないことが多い。特に単独の場合は自分次第になるので、迷ったら、小さな判断が生死に関わることを思い出すことにしている。

※1 メリノウール:調湿、保温、防臭性能に優れた天然素材
※2 機能性化繊:吸汗、速乾性能に優れた化学繊維