■アウトドア料理にダッチオーブンが向く理由

 素材は鋳物製で厚みがあり、蓄熱性が高く、熱のムラが少ない。この特徴は気温、風、雨など自然環境の影響を受けやすいアウトドアでは、なにかと都合がいい。常に無風で気温が安定している家庭のキッチンとは違い、野外では毎回快晴で無風の日に料理ができるわけではないからだ。

 ダッチオーブンはその性質上、他の鍋に比べて料理の温度が気候条件に左右されることが少ない。これこそが、ダッチオーブンがキャンプでも重宝されている理由である。

蓄熱性と密閉性が高いため、煮込み料理におすすめ

 蓄熱性が高い道具の特徴を存分に生かすならば、煮込み料理に使うことをおすすめしたい。食材の旨味が染み出し渾然一体となること、煮込み始めればある程度放っておいてもダッチオーブンが料理を美味しく仕上げてくれることも利点である。

具材を鍋に入れたら、後は吹きこぼれないよう火加減を調整するだけ

 注意点を挙げるならば、沸き始めたら吹きこぼれないよう弱〜中火にすること。蓄熱性が高いので、弱火でも十分に熱が入る。火からおろして余熱で調理してもいいくらいだ。鍋の中に水分がなくなると急激に焦げ始めるので、火加減になれないうちはマメにチェックするといいだろう。

 長年使い込んで味が出たダッチオーブンは、なんとも言えず格好良い。大事に、適度に適当に、かわいがってあげよう。

『焚き火料理の本』(山と溪谷社刊)より
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