■秋色に染まる高原のトレイルを歩く

 今回は、乗鞍岳登山だけではなく、長野県側山麓の乗鞍高原の散策も楽しんだ。

 乗鞍高原は標高1,200~1,800mに位置する広大な高原地帯で、一帯には豊かな原生林が広がり、美しい湿原や池、滝などが点在している。高原内にはそれらのスポットをめぐる3つのトレイル(「のりくらトレイル」「一の瀬草原トレイル」「三本滝トレイル」)が整備されている。コースタイムは、もっとも短い「のりくらトレイル」が2時間半、ロングコースの「三本滝トレイル」は6時間と幅があるので、体力や滞在時間にあわせて選ぶといいだろう。

 どのトレイルもそれぞれに魅力的だが、10月下旬の時期におすすめなのが「一の瀬草原トレイル」だ。草原の草木は紅葉の見頃を迎え、運がよければ、冠雪する乗鞍岳の「白」、針葉樹の「緑」、草原の「赤や黄」という「三段紅葉」を見られるかもしれない(我々が訪れたときは乗鞍岳の雪はなかったが……)。

「のりくら高原トレイルズ」について
一の瀬草原トレイルの「まいめの池」。風がなく、凪いだ水面には乗鞍岳が映っていた
トレイルの散策を楽しむ人たち
トレイルの各所には案内看板が設置され、安心して歩ける

 草原内の少し奥まったところに立つ「大カエデ」も必見。真っ赤に染まった迫力ある大カエデと、その奥にそびえる乗鞍岳の展望は、一幅の絵画のような見事な景観だった。

真っ赤に染まった「大カエデ」と乗鞍岳
一の瀬駐車場近くのカフェ「CAFE&GALLERY KURUMu」。散策途中の休憩に

 2025年ごろから乗鞍高原では「歩治(ほじ)」という新しい滞在スタイルを提案している。温泉に浸かって心身の調子を整える「湯治」のように、高原に滞在し、自然豊かなトレイルを歩き、“人生のリズム”を整えていくという考え方だ。乗鞍岳という雄大な山の裾野に広がり、四季折々の自然が誰でも気軽に楽しめる乗鞍高原という場所は、たしかに歩治というコンセプトにぴったりかもしれない。

のりくらの「歩治」観光協会公式サイト 
のりくらトレイルや三本滝トレイルで立ち寄れる「牛留池」
その名のとおり、3つの滝が流れ落ちる「三本滝」

 もちろん、歩治(=トレイル)だけではなく、湯治(=温泉)も乗鞍高原の大きな魅力だ。

 のりくら温泉郷には「乗鞍三湯」と呼ばれる3つの源泉がある。乗鞍岳の山腹から湧き出て、高原へと引湯している「乗鞍高原温泉」。高原内に湧き出る無色透明の「すずらん温泉」。地下1,300mから湧き出るカルシウムやマグネシウムを多く含む「安曇乗鞍温泉」だ。

 今回お世話になったのは、乗鞍観光センターから車で数分の「ピーポロ乗鞍」。お風呂は内湯のほか、露天風呂もあり、原生林を間近に眺めながら、白濁した柔らかなお湯で体の疲れを癒してもらった。

ピーポロ乗鞍
信州名物の馬刺しや松本産豚肉のしゃぶしゃぶなど地元の食材を堪能できる
露天風呂。お湯は湯口では透明だが、空気に触れると白濁する