標高の高い山と比較すると、冬から春先にかけての低山は、激しい積雪や低温にさらされるリスクが低く、比較的挑戦しやすい。また、最近増えつつあるヤマビルの活動も収まる時期なので、ストレスなく登山を楽しめる。
今回は、群馬県に位置する歴史に彩られた低山「岩櫃山(いわびつやま・標高803m)」、「嵩山(たけやま・標高789m)」を紹介する。どちらも山頂や途中の小ピークで眺望が開けているため、空気の澄んだ空と、遠くまで広がるきれいな景色が楽しめて、これからの時期に登るのがおすすめだ。
■「岩櫃山」と「嵩山」を結ぶ歴史
時は遡り戦国時代。永禄6年(1563年)、上州進出を狙う武田軍・真田氏が、上杉軍・斉藤氏が守る岩櫃城を攻略。岩櫃城を追われた斉藤氏の末子・城虎丸(じょうこまる)は嵩山(たけやま)城に入り、岩櫃城奪還の機を伺う。
永禄8年(1565年)、上杉の援軍とともに城虎丸の兄・憲宗(のりむね)が嵩山城に到着、岩櫃城奪還に向けて攻撃を開始した。各社が選定する百低山に選ばれることもある2つの山で繰り広げられた戦いの結末は……。
■武田軍・真田氏を支えた天険の要害「岩櫃山」
岩櫃山は群馬県の東吾妻町(ひがしあがつままち)に位置する岩峰で、ぐんま百名山にも選ばれている。岩櫃山には、平沢登山口、赤岩登山口、密岩登山口の複数の登山口があるが、岩櫃城本丸址を経由して登る平沢登山口から登る人が多い。広い駐車場が整備されており、車でのアクセスもしやすく便利だ。今回は、筆者も平沢登山口から岩櫃城本丸址、岩櫃山頂を目指した。
平沢登山口から樹林帯を歩くこと約20分で岩櫃城本丸跡に到着する。戦国武将の中でも人気の高い真田氏の居城ということもあり、この日も何組かの観光客が訪れていた。11月も下旬になると落葉した木々の間から嵩山方面を望むことができる。遺構の形状も分かりやすくなることから、山城ファンのハイシーズンは冬ともいわれている。この時も「当時の武将たちもここから嵩山を警戒していたのだろうか」と思いを巡らせながら嵩山を眺めることができた。
本丸址を抜けて岩櫃山山頂へ進んでいくと、だんだん岩場が多くなり、6合目からは巨大な岩の間を通りながら登って行く。この道を通って城を攻撃するのが難しいということがよくわかる。
本丸址から約40分で山頂手前のピークに出る。この場所に名前はないようだが、360度ぐるっと景色を見渡せる絶景スポットだ。ここから山頂を見ると、岩のてっぺんに翻る旗と、そこへ続く岩壁に鎖がついているのが見える。この先のルートを見て「怖い」と感じたら、この場所で景色を満喫して、引き返す選択肢もありだ。
山頂へは高さ約10mの壁のような鎖場を登ることになり、登山者で渋滞することも多い。くれぐれも無理は禁物だ。