■パタゴニア創業者からの学び
アウトドアウェアでお馴染みのパタゴニア社が、渋谷に初めて出店した時のオープニングに、会長で創業者のイヴォン・シュイナード氏が来日していた。
当時パタゴニアで働いていた私は、入社数年目の若手社員だったのにもかかわらず、生意気にもイヴォン氏に「東京の若者が集まるような場所に出店することについて、あなたはどう考えているのか?」と質問をした。個人的には、アウトドアブランドの出店場所として、ファッションの街は相応しくないと思っていたからだ。
イヴォン氏の気持ちの根底は自分と同意見らしかったが、彼としては「より多くの人がパタゴニアというウエアを知ることで、アウトドアフィールドに出て、自然の魅力やパタゴニアの活動の真意に気がついて欲しいからだ」と話してくれた。
若気の至りとはいえ、なぜあんなことを言ってしまったのか、今でも思い返すたびにとても恥ずかしくなる思い出だ。物事を広めるためには、いろいろな手段がある。自分は彼とパタゴニアの真意や物事の本質を理解できていなかった。
現在、私が紹介している「キャンプ料理」も当時のイヴォンの思いと同様に、できるだけ広く、多くの人に楽しんでもらいたいと考えている。フィールドに出て、アウトドアで美味しいご飯を食べる楽しみを通して、100人に1人でも、私の「真意」に気がついてくれたら嬉しい。