滑ったことがない場所は雪上に立つだけでも新鮮な刺激に満ちている。その地域の風土や食、温泉など滑る以外も楽しみは尽きない。いや、むしろ、こちらが主目的なのかも……。そのうえで、いつものスキー場に戻ると、新たな視点が生まれ、見慣れた斜面にも発見がある。各地を巡るのは、まさに良いこと尽くしだ。
この記事では、東北に縁のあるスキーヤーたちに面白いスキー場をコソッと教えてもらった。目下、その素朴な雰囲気が、とりわけ欧米の滑り手の目に映り始めている。早めに滑りに行ってそのムードを味わうべきだ。
01. コンパクトながら要素凝縮。昭和の味わいを令和流に遊ぶ
■国見平スキー場(岩手県)

ペア1本とシングル1本というコンパクトなスキー場。豊富なコースレイアウトは、あらゆる要素がギュっと詰まっている。テクニカルコースは、滑り応えのある斜度の気持ち良い圧雪バーン。クマの踊り場コース、モーグルバーンコースは降雪時にはパウダーも狙える非圧雪ゾーン。踊り場迂回コース、連絡コース、深雪ワイルドコース、林間コースといったエリアでは、サイドで壁遊びが面白い。食堂の雰囲気やシングルリフトなど昭和テイストが多く残るが、令和のスキーセンスと想像力なら、遊び方を引き出せるはず。食堂のメニューはシンプルだが、どれも味わいがあってハマる。
【data】
料金|1日券3400円、5時間券3000円
営業時間|8:30~16:30
recommender 伴隆郎
夏に盛岡市から滝沢市へと移転したNarrows。オーナーの伴はここ数年ケガで活動を控えていたが復調傾向。横ノリと縦ノリの要素をミックスした滑りは定評あり
02. 東成瀬村応援団に入部して、混まずに豪雪地の深雪を満喫
■ジュネス栗駒スキー場(秋田県)

東北でも有数の豪雪地帯にあるスキー場。内陸部の栗駒山の麓にあり、高速道路からのアクセスも遠いが、そのぶんパウダー競争率も低く、リフト料金もリーズナブル。立地柄、週末でも極端に混雑せず、ノンストレスでリフト回しができる。最大斜度40度のモールコースをはじめ非圧雪ゾーンがいくつもあり、深雪でも滑りごたえ抜群。ここでは教えられない非圧雪のエリアもたくさんある。パウダー好きはぜひ訪れてほしい。ちなみに、会費無料の東成瀬村応援団というのに登録すると、リフト券をはじめ、村内の温泉や宿泊施設などでさまざまな割引特典が受けられる。これはオススメ。
【data】
料金|1日券4000円、1回券600円
営業時間|9:00~16:00
recommender 梶田亜蓮
岩手県出身。モーグル、パーク、フリーライドを経て、岩手県内のスキー場やBCで撮影を中心に精力的に活動中。レゲエシンガーの顔ももっている

03. 鳥海山麓で地形遊び。市営スキー場の壁とバンクを滑り倒す
■鳥海高原矢島スキー場(秋田県)
鳥海山の麓にある、クワッドリフトがたった1本の市営スキー場。壁やバンクといった地形が豊かで、スノーサーフィンの聖地のひとつともなっている。フリースキーに興味をもちだした小学生時代には、スノーボードのスロープスタイルの東北地区プロ予選などが開催され、ナイターまでパークを滑り倒すことができた。気温の下がるナイターでのパウダーは格別で、競争率はとても低くほぼ独り占め。由利本荘市中心から車で40分程度で、リフト券も安くて遊びに行きやすい。海もスキー場から40分程度で、山も海も楽しめる。ゲレ食は地元の食材を用いた手作りの「唐揚げ定食」が別格だ。
【data】
料金|1日券3200円、4時間券2500円
営業時間|9:00~16:00(ナイター17:30~21:00)
recommender 村井 諄弘
秋田県出身。石打丸山や野沢温泉と拠点を移しながらパークシーンで世界へ飛び出し、スキーを続ける。現在はアルマダジャパンの顔として全国を飛び回る

04. 蔵王南端で風をかわす。上級者コースで平日パウダー独占
■みやぎ蔵王白石スキー場(宮城県)
規模は小さいファミリースキー場だが、上部にはナチュラルな地形丸出しの上級コースのD、B、Cがある。Dはかなりねじれや落ち込みがある。BとCは斜面変化十分。風が強い宮城蔵王エリアの中でも、中央蔵王から離れていることもあり、唯一と言っていいほど北からの風をかわす。いくつかのピークを隔てており、南端に位置するのがその理由だろう。そのためリフト稼働率も高い。ただ、斜面は日当たりが良く、良い雪の賞味期限は短い。が、平日はほぼ貸切状態のためパウダーを独占できる?! かもしれない……。地元のおばちゃんたちが厨房に立つゲレ食の雰囲気と味も◎。
【data】
料金|1日券3900円、10回券4500円
営業時間|8:30~16:30
recommender 半田譲
宮城県出身。南東北エリアをガイドするZAOC代表。幼少期から蔵王を遊びつくす。プロスキーヤー兼BCガイド兼FWTジャパンのアドバイザー
05. 難易度の高いアクセスと引き換えに味わえる極上の雪質
■北日光高畑スキー場(福島県)

東北道・西那須野塩原ICから下道で1時間半から2時間、磐越道の会津若松ICからでも2時間とアクセスするのにハードルは高め。そのぶん、人は少なく極上の雪をたっぷりと滑り倒せる。スキー場はリフト4本で地形に富んだコースが楽しくてフリーランするのにちょうどいい。パウダーももちろんだが、なによりもグルーミングがとても気持ち良いからオススメ。注目はセンターハウス。過去のスキー雑誌をはじめ、2000年にJP・オークレアやJF・クッソンといったカナディアンエアフォースと呼ばれた当時のサロモンチームがこの地を訪れた写真が展示されている。フリースキー考古学的には貴重な資料だ。
【data】
料金|1日券5300円、4時間券4800円
営業時間|8:30~16:00
recommender 小野智大
兵庫出身、茨城県在住。WAPAN SKIのプロデュースからマネジメントまでを手掛ける。滑りに行くのはほとんどが東北エリア。山形蔵王エリアがお気に入り
