本州の真ん中、長野県と山梨県の間にある八ヶ岳。南は編笠山から北は蓼科山までの南北およそ30kmにわたる山々の総称である。八つの頂で構成されているわけではなく、たくさんの山があることを意味して「八ヶ岳」と名付けられた。ここはその山の頂に比例するように、数々のルートがあり、それぞれの山や登山道に魅力がある。
山登りはピークを目指す人もいれば、植生を愛でる人もいる。景勝地もあれば、野趣溢れる野天風呂もある。山小屋で人と人の温かみを感じることもあれば、テントで独りの時間を過ごすこともある。
山登りに対する向き合い方はみんな違って、みんないい。八ヶ岳はそんな多様な山登りができる山である。初心者からエキスパートまで楽しめるこの山で、たくさんの山の楽しみ方を見つけてみよう。
■登山者にとって、八ヶ岳が魅力的で、愛される6つの理由
1. 初級者から上級者まで楽しめる
2. 首都圏からのアクセスが抜群
3. 個性溢れる山小屋がさくさん
4. 一年を通して山を楽しめる
5. エリアによって異なる山歩きが楽しめる
6. 富士山、日本アルプスに並ぶ人気の山域
■冬の坪庭(ふゆのつぼにわ)
ルート:北八ヶ岳ロープウェイ → 坪庭自然園(周遊)
体力:★☆☆☆☆ 技術:★★★☆☆
行動時間:1時間
●MAP

●雪山デビューに最適な冬の北横岳
北八ヶ岳を代表する山、北横岳は夏や秋はもちろんのこと、冬季の雪山登山入門の山としても人気が高い。
その麓にある坪庭自然園、はじめての雪山登山を目標に据えての散策にちょうどいい。
その理由は、ロープウェイを使って、標高2,237mまでアクセスして、一気に銀世界に行けること。冬の坪庭自然園を夏の2倍近くの時間をかけて周遊してみよう。歩きやすい樹林帯から開放的な尾根まで、さまざまな雪山を体験できるのが魅力だ。登山者も多いので、誰かが歩いた足跡も残っており安心できる。
まずは有識者と登ったり、ガイドツアーに参加したりして道具の使い方や雪山での留意点などを学ぶ必要はあるが、夏秋とは異なる北八ヶ岳の冬景色は見る人の心を掴んで離さない。
■コースのポイント
1. 八ヶ岳ブルーと真っ白な景色のなか新雪を踏みしめながら歩く

坪庭自然園の入り口を通り過ぎると、すぐに開放的な雪原が広がる。八ヶ岳ブルーとも称される青空と雪原のコントラストが美しく、一気に非日常の世界へと入り込む。標識に従い、北横岳方面へと歩き出し、坪庭園の周遊コースへと入る。
2. 普段見ることはない雪に覆われた大きなシラビソ

周遊コースを半分ほど行ったところで開放的な世界から、今度はシラビソに囲まれた神秘的な世界へと景色が変わる。シラビソに付着したたくさんの樹氷が、木をより大きく見せている。雪山は夏とはまた違った情景を見せてくれるので、山登りに一層のめり込むきっかけになる。
●ワンポイントアドバイス! 目標は北横岳への登頂

雪山登山の入門と呼び声が高い北横岳。軽アイゼンを装着して、本格的な雪山を歩いてみよう。いつもとは違う登山道や山の姿に出会える。行動時間も長くはなく、急な登りも少ないので、はじめての挑戦に最適だ。
●DATA

・登山口/駐車場:北八ヶ岳ロープウェイ
・費用:ロープウェイ乗車料 往復2600円(大人)
・アクセス:車/中央自動車道・諏訪ICからビーナスラインを経て約40分
電車・バス/JR中央線・茅野駅から北八ヶ岳ロープウェイ行きバスに乗車して約60分