登山というと「つらい」「歩くのだるい」「足が痛い」という苦行な印象も少なくないなか、大胆にも「とにかく気軽に、気持ちよく、楽しく歩く」をテーマに登山を再定義した書籍『歩くを楽しむ、自然を味わう フラット登山』(かんき出版 刊)が話題だ。その本の著者、作家・ジャーナリストの佐々木俊尚さんが提唱する「フラット登山」とはどんなものなのか?  2回にわたって紹介していく。

※本記事は『歩くを楽しむ、自然を味わう  フラット登山』(佐々木俊尚 著)から一部抜粋・再構成したものです。

■「フラット」に込められた思いは3つ

まさに「フラット登山」広大な開放感が魅力!  霧ヶ峰を行く

1. 急登にヒイヒイ言うだけが登山じゃない。「フラット(平坦)」な道も歩いて楽しもう。
2. 日本百名山コンプ自慢や、冬山、バリエーション…… くだらないマウンティングから脱却して、みんなが「フラット(平等)」に登山を楽しもう。
3. 登山を難しく考えすぎるのはやめよう。もちろん遭難対策は忘れてはいけないけれど、気軽に週末日帰りで「ふらっと」気軽に登山を楽しもう。

 山頂を目指す登山ではなく、ロングトレイルほどに “求道的” ではなく。かといって散歩ほどゆるく短い歩行ではない。都会の散歩よりもっと深く濃い自然に浸りたい。あくまでも「歩く」喜びを満たせる登山。それが「フラット登山」なのだ。

超有名観光地 日光も少しハズせばこの静謐 戦場ヶ原を行く

■今週末「フラット登山」へ行くためには?

⚫️フラット登山のコース設定とは?  何を重視する??

 登山のガイドブックや雑誌などには「今年は北アルプスに登ろう」「奥多摩の静かな魅力」などといった記事がたくさんあり、有名山岳に登るコースが紹介されている。しかしそれらのコースのほとんどは山頂に登るということを目的としている。また「山頂から山頂へとつなぐ」 長いコースのいわゆる縦走というのもあるが、これも山頂に登ることを眼目にしている点では同じである。

 しかしフラット登山では、山頂は目標にしていない。「山頂などに行かなくても “気持ち良い道” を歩ければそれで良し」というのがフラット登山の哲学である。しかしそのようなコース設定は、たいていの登山ガイドブックには出てこない。
だから自分でコースを設定をするのが大事なのだ。