春の陽気に誘われ、鹿倉山(しかくらやま)へ足を運んできた。京都府福知山市と兵庫県丹波篠山市の県境に位置する標高547.7mの山で、四神楽山(しかくらやま)、四ヶ倉山(しかくらやま)、四村山(しむらやま)など複数の別称を持つ。かつては山自体がご神体として崇められていた神奈備(かんなび)の山と考えられている。
また鹿倉山にはかつて、大平寺という大寺院が存在していた。しかし、中世に焼失して廃寺になったとのこと。焼失の経緯は不明だが、丹波の多くの寺院が明智光秀の丹波攻めで焼き討ちに遭ったことを考えると、大平寺も同様の運命をたどったのかもしれない。
今回は、登山道が一番短く挑戦しやすい、熊野神社ルートを歩いてみた。
■深山林道を進み、轟水満宮に立ち寄る



鹿倉山の登山ルートは複数あるのだが、どのルートも交通の便がよくない。そのため、鹿倉山へ訪れる際には車が必須となる。今回選んだ熊野神社ルートは、京都府道710号線から西へ入った深山林道の終点から始まる。



深山林道は自動車通行止めとなっており、林道入口の無料駐車場に車を停め、そこから林道を歩いて熊野神社を目指す。熊野神社ルートは登山道こそ短いが、林道を歩く距離はそこそこ長い。駐車場から熊野神社までは約2.6km、徒歩50分ほどの道のりだ。


林道の中間地点には、轟水満宮(とどろきすいまんぐう)というスポットがある。ここには蛇口付きの湧水が設置されているが、残念なことに「未処理のため飲めません」との注意書き。かつては地域住民が生活用水として利用していたとのことだが、現在は林道脇の渓流から取水しているようだ。
轟水満宮の敷地内には京都府最大級のモミの巨木がそびえ立っており、なかなかの迫力だ。轟水満宮に立ち寄れば往復700m、約10分ほど余分に時間がかかるが、その価値はありそうだ。