■フラット登山の計画を立てる。重要なポイントは4つ

 さて、ここからはどのようにしてフラット登山のプランを決めているのかを詳しく説明していこう。

1. 季節と標高の組み合わせ
2. 混雑度と官能度の組み合わせ
3. 交通手段があるかどうか
4. 高低差

 以上の4つが私が考えるフラット登山の重要な4つの要素である。

鎌倉と横浜をまたぐ不思議な山道「ビートルズトレイル」

⚫️季節と標高の組み合わせ。快適かつ安全に楽しむために

 余計な遭難リスクを避けるためにも大事な指標である。これはフラット登山だけでなく、いわゆるふつうの「山頂を目指す登山」にも当てはまるだろう。

 真夏であれば、日本の山ならたいていはどこに行ってもほとんど雪はない(北アルプス白馬岳や飯豊山など登山道に大きな雪渓のある山もあるが、それはまた話が別なのでここでは割愛する)。

 だから3,000m級の登山道も当たり前のように候補に入る。逆に、暑い夏には 低山は厳しい。近年のように摂氏35℃を超えるような猛暑だと、数百メートル程の標高の低山を歩くのは地獄の業火に焼かれるような苦行でしかない。だから暑夏には最低でも1,800~2,000mぐらいの標高は確保しておきたい。

これぞ頂きを目指さない「フラット登山」 富士山腹を横切る 宝永山ルート

 逆に冬には、高い山には積雪がある。雪山装備をしないで歩くのは危険きわまりない。
1,500mを超える山に行くのには注意が必要だ。わたしは真冬には1,000m以下の低山。もしくは、もはや山でも何でもない平原や野原。さらには海沿いや川沿いなどの道を歩くことにしている。特に伊豆や三浦など太平洋に面している海岸は暖かく、冬には最高のコースとなる。冬以外では暑くて歩く気など起きないような道が、冬には素敵なコースに様変わりするのだ。

洞窟に断崖、海岸沿いを行くアドベンチャー 三浦海岸ルート

 春と秋は、けっこう難しい。3,000m級の高い山はゴールデンウィーク明け、遅いときには6月に入ってもまだ雪が残っているところがあり、避けたほうがよい。

 秋も10月後半になってくると、積雪期に入ってくる。基本的には春にしろ秋にしろ、2,000mを超える山にはなるべく近づかないほうが賢明だ。ウェブを検索をしたり、ライブカメラで積雪を確認したり、同時期に登っている人の過去の参考記録やブログなどを調べたりする。とにかく事前の徹底的なリサーチで、リスクを減らしておくことが大切である。