■勤務先まで自力でたどり着けるかどうか

みんなここまで歩いてきてくれる。働くスタッフもね

 山域や小屋の規模、立地条件は様々。完全に天水しかない稜線の小屋もあるし、じゃんじゃん水が使える小屋もある。車で勤務先の小屋まで入れるところがあれば、2時間くらい歩く小屋があったり、テカリのように8時間歩かなければならん、という場所もある。

 生活や立地、ここは譲れないな、という条件を考えて、どこで働こうか決めてみるといいかも。もちろん、勤務先まで自力でたどり着けるかどうか、の判断もお忘れなく。

■十小屋十色

白山では(憧れの!)屋根に登って布団を干した!

 光岳小屋でも、そろそろ来年度のスタッフを募集したいという目論みもあり、バイト経験者に会うとつい、数ある小屋の中から「なんでその小屋を選んだの? 決め手は?」と聞いてしまう。最近では、私の趣味みたいになっている。

 小学校の教員を退職し、長野に移住して八ヶ岳の山小屋で働いていた女性は「毎日お風呂に入れる」というのが譲れない条件だったそう。洗濯の頻度やお風呂、食事や住居空間。長く働きながら暮らすとなると気になりますよね〜。

 1日に何百人も泊まれるくらい規模が大きかったり、複数の山小屋を所有している会社は、募集する人数も多い。HPに「こんな人と働きたい!」という希望が、具体的に記載されていたりする。

 まずは、大人数の山小屋に行ってみるのもいいよね。同世代のスタッフも多く、分業制なので毎日同じポジションで仕事ができる。受付、厨房、喫茶軽食担当みたいに、ある程度役割が決まっているから働きやすいと思う。

 以前働いた白山の山小屋では、コロナ中の営業時でさえ、20人ほどスタッフがいた。かたや家族経営や、光岳のように少人数で小さくやっている山小屋は、1人が担う役割が多い。あれもこれもやらないと小屋が回らない。山域や規模が違うと、働き方も多岐にわたるのだ。