■「何もしない」をする。脱・アクティブのススメ

●逆に疲れてしまう、週末のアウトドア
キャンプや登山といったアウトドアアクティビティは、「自然の中でリフレッシュする手段」として多くの人に支持されている。しかし、せっかく自然の中に身を置いても、スケジュールをびっしり詰め込んで、家族の食事に気を配り、子どもを楽しませ、帰り道ではぐったり。そんな経験を持つパパママは少なくないはず。
リフレッシュのためのアウトドアなのに、なぜか「やらなければいけないこと」が増えている。スマホのSNSでは誰かの充実したキャンプ写真や山頂の動画が目に飛び込んでくるため、自然の中にいるのにどこか日常の延長線にいるような感覚だ。そんな状況をリセットするには、「何もしないアウトドア」が有効なのだ。
今回はそんな何もしないアウトドアの中でも、特にファミリー層の多くが楽しんでいるキャンプでの実例をもとに、そのコツを紹介したい。

●なぜ “何もしないアウトドア” が今必要なのか?
仕事、家庭、社会とのつながりに追われて生きる現代人、とりわけ働き盛りの世代は、日々「やるべきこと」に囲まれて生きている。そんな毎日の延長でアウトドアを捉えると、どうしても「◯時までに山頂に登る」「キャンプで◯◯をする」「売り切れる前に〇〇を味わいたい」「今だけしか見られない○○を撮影する」といった“やること前提”のスタイルになりがちだ。それはそれで楽しいが、これでは心も体も休まらないのも確かで、できなかった時のダメージも大きい。
自然に触れる本来の目的は、「自分を一度リセットすること」。風の音、火の揺らぎ、木々の香り……。そうした五感を通じて“無理に何かをしなくてもよい時間”を味わうことで、人は本当に癒される。
●「何もしない」は案外難しい。でも、効果抜群

「アウトドアで“何もしない”と言われても、実際どう過ごせばいいのか?」 そう思う人もいるだろう。はじめのうちは、手持ち無沙汰を感じたり、罪悪感のようなものを覚えるかもしれない。
だが、それでいい。大切なのは、無理に行動を起こさないこと。例えば以下のような過ごし方で十分だ。
・気持ちのよい外でただ座る
・空を見上げてぼーっとする
・早朝に起きて、なにもせず椅子に座っている
誰にも縛られない、誰のためにも動かないそういった“空白”が心身に作用する。日常生活では得られないこの感覚こそが、「アウトドアで何もしない」 最大の醍醐味なのである。