■「ひょいキャン」の後片付けが楽な理由

ストーブの片付けは、底にたまった灰を逆さまにして捨てて終わり

 小型二次燃焼ネイチャーストーブは燃焼効率がよいので、燃料はきれいに燃え尽きて少量の灰が残るだけ。後片付けもストーブを逆さにして、軽く叩いて灰を落とせば終了。実に簡単だ。結果、ゴミが少なくなり片付けが楽になる。筆者のものはストーブ本体の材質が薄いため、火が消えると冷めるのも早いのもうれしい。なお、調理器具に使い切りグッズを利用するのも、洗い物を減らす時短のコツだ。

■「ひょいキャン」にかかった時間

 準備から始まって、料理3品を作り、後片付けが完了するまで1時間30分だった。幸いにも筆者の家から車で30分〜1時間ほどの距離には事前予約不要のキャンプ場が複数あるため、移動や買出しの時間を含めても、3時間前後で「ひょいキャン」は完了可能となる。

■小型二次燃焼ネイチャーストーブのデメリットと対策

 紹介したストーブは燃焼効率や軽量・コンパクトなど、よいことづくめのようであるが、逆にこれがデメリットになることもあるため、工夫して使う必要がある。ソロストーブに限らず一般に販売されている二次燃焼系ストーブの口コミには、燃費の悪さや火力調節が困難などの不満点が散見される。

 筆者のストーブは自作なので、こちらの実際の使用感に基づき、対策を考えてみた。

●燃料が早く燃え尽きる

 燃焼効率がよすぎるのも考えもので、火力が強い分燃料が燃え尽きるのが早い。頻繁に薪を継ぎ足ししないと、火が消えてしまうので注意が必要だ。火を長持ちさせたい場合、途中から太めの薪にするとよい。また、燃料を木炭に切り替えると火力が安定して長持ちするので試してみてほしい。

途中から燃料を木炭に変えると火が長持ちする

●煙は少ないが煤は出る

 二次燃焼が始まると煙はほぼ出なくなるが、煤は発生する。クッカーやスキレットを使うと底面が煤で真っ黒になり、洗うのは面倒だ。使い切りのアルミ鍋やアルミホイルを使うのにはこのような理由もある。

 途中から木炭に切り替えたり、薪が熾火になるとほぼ煙も煤も発生しないので、バーベキューにも向いている。

空き缶で白飯を炊いているところ

 時短キャンパーの間ではおなじみの空き缶炊飯もよくやる。350mlサイズの缶は一人分の炊飯(0.5合)にちょうどよく、小型二次燃焼ネイチャーストーブとの相性もよい。時間が限られる「ひょいキャン」の場合、自宅で米をサッと研いで密封容器で浸水させつつ移動すると、すぐに炊飯を開始できる。加熱と蒸らしで約30分で炊きあがる計算だ。煤で汚れた缶は不燃ごみとして出せるので、これも時短となる。

●サイズが大きいものの調理が苦手

 ストーブのサイズが小さいのもネックで、調理に使う熱源部分の面積が狭く、焼肉などは焼ける数量が限られる。鍋やスキレットを使えば料理メニューの幅が広がるが、前述のとおり煤で汚れるので、できるだけ使用を避けたいのが本音だ。

焼き鳥は長さがあるとストーブの熱源の面積に納まらない。位置を少しずつずらして順番に焼くなど工夫が必要だ

 たとえば焼き鳥のように長いものは、ストーブの熱源がすべての肉に当たらず、はみ出してしまう。肉のサイズによっては1本ずつしか焼けない。途中ひっくり返しつつ、少しずつ位置をずらして端から順番に焼くようにすればいいのだが、時間がかかる。

 そこで一工夫。まず鶏肉だけをアルミホイル包み焼きにして火を通し、仕上げに串に刺して表面を炙る。こうすれば生焼けなどの失敗が少なく、効率的だ。

■時間がない人だけではなく、手軽にキャンプを楽しみたい人にも「ひょいキャン」スタイルはおすすめ

手軽にキャンプ気分を味わって、小さい焚火に癒されよう

 たとえ小さい焚火でも心は癒されるし、手軽にキャンプ飯も楽しめる。忙しい人や短時間でもデイキャンプを楽しみたい人に「ひょいキャン」はおすすめだ。

 また宿泊付きキャンプでも省力化し、楽に済ませたい人にも向いている。焚火と料理、片付けまで短時間で済むので、余った時間を自分の好きなように使えるのがその理由だ。

 道具を減らし、身軽にできる「ひょいキャン」スタイルでもっと気軽にアウトドアを楽しんでみてはいかがだろうか。