ライズが起きるプールにすっかり夢中に!

魚が溜まっていたプールでは、しきりにライズを繰り返すニジマスの姿も

 夕方近くになり、釣り人の数が減ってきました。日中(釣り人の)密度が高かった人気ポイントが空いたので、そちらへ向かいました。

 右岸の急斜面に沿った流れ込みから広がるプールです。なるほど、良型のニジマスたちがたむろしていて、ときおりライズも起きていました。

 魚たちは夢中で捕食を繰り返していますが、極小の“何か”を食べているようで視認できません。ライズフォームもさまざま。吸い込むような“ディンプル”や水面に顔を出して大胆に“スプラッシュ”にもワクワクさせられます。

#20のフックに巻いた、ユスリカに模したフライ。米粒程度の大きさです

 水面付近で羽化している“何か”をユスリカと仮定して、それを模した小さな(米粒程度)のフライを結びました。フライの胴体部分がわずかに水中に沈むタイプです。流し方が悪いのかフライが合っていないのか、なかなか反応してもらえませんが、立ち位置も含めて執拗に試し続けました。

やや細めの魚でしたが、尾ビレの大きさが目立ちます。ラインブレイクしないよう、終始ヒヤヒヤしながらのやり取りでした

 フライが狙いのニジマスの頭上を通過した直後、急に気を取り直したかのように反転して大きく口を開けました! フッキングはバッチリです。フライをしっかりと咥えたニジマスは、広いプールのなかを縦横無尽に走り回ります。ティペット(ハリス)は、魚のサイズとフライとのバランスを考えてギリギリの8Xです。無理をせずになだめすかすようなやり取りの末、無事にネットに導くことができました。

辺りの木々の葉もだいぶ落ちていましたが、ひときわ鮮やかな紅葉に秋の名残りを楽しませてもらいました

 この日最大の約50cmの魚。苦労して釣った一本に充足感でいっぱいです。“ライズ道場”に一礼して釣りを終えました。川沿いにはまだ紅葉しているモミジの木が何本かあり、ひときわ鮮やかな赤が浮き立つようでした。瀬音に耳を傾けながらの渓流釣りは、秋の景色の見納めになりました。

 ただ、腕まくりしていた数か所が痒くなっていました。ユスリカではなくて、ニジマスたちのライズの相手は“蚊”だったのかもしれません……。