秋になると本州の多くの一般河川での釣りが禁漁になりますが、それと入れ替わって、秋から冬に渓流釣りが可能な釣り場が増えています。河川の特定の区間に設けられた“冬季釣り場”です。
雪化粧した富士山を眺めつつ、静岡県東部の「黄瀬川(きせがわ)」に設けられた冬季キャッチ&リリースの釣り場へ向かいました。今シーズン最強寒波が襲来したタイミングでしたが、ニジマスたちの反応はどうでしょう……。
■富士山の裾野を流れる黄瀬川へ
静岡県東部、富士山のすそ野を流れる狩野川(かのがわ)水系最大の支流が黄瀬川です。管轄は、狩野川漁業協同組合(漁協)となります。
冬季キャッチ&リリースの釣り場の期間は、11月1日〜翌2月28日です。釣り場の最上流部は、静岡県の天然記念物にも指定されている景勝地「五竜の滝」で、水窪大堰までの区間約3kmがエリアとなっています。対象魚はニジマス、釣り方はルアーかフライフィッシング、テンカラとなります(エサ釣り不可)。
狩野川漁協:https://kanogawa-gyokyo.jimdofree.com/tsuri/kisegawa/
■晩秋の流れ、揺らぐ魚影にウキウキ!
「裾野市中央公園」の駐車場に車を停めて、園内を足早に移動して黄瀬川の畔へと降ります。ここは五竜の滝のすぐ下流、まだ残る紅葉が晩秋の景色にひときわ鮮やかな彩りを添えていて美しい。
この日の筆者はフライフィッシングです。ちょうど同じタイミングで訪れたルアーマンと挨拶を交わして、お互いの健闘を祈って釣りを開始しました。
朝8時の気温は2℃。真冬並みの寒気が訪れたというだけあって、いきなり冷え込んでいました。水温は10℃をキープしています。風がないおかげでしょうか、それほど寒さを感じません。
目が慣れてくると、流れに溶け込むように揺らぐ魚影が見えてきました。意外と岸に近いところにもニジマスたちは泳いでおり、なかには50cm以上ありそうな良型の姿も!
しかしながら、こういった冬季釣り場では簡単にサイトフィッシングとはいかないのが常です。人影に寛容な代わりに、魚たちはなかなか口を使ってくれません。まず“アグリーニンフ”を結んでふんわりと水中を漂わせますが、素通りしていきます。その後も“ニンフ”を何種類か流したのですが、ちらりと視線を送る程度の反応です。
“ソフトハックル”をダウンクロスで流して流れに任せて低速のスイングしてみました。わずかにラインが引かれたような感触に「落ち葉かな」と思いながらも念のため、軽くラインを手繰ると魚の脈動が伝わってきました。釣れたのはいわゆるレギュラーサイズ、20cm少々のニジマスです。とりあえず“ボウズ”を回避できて、ほっと胸を撫で下ろしました。さらに同じような手法で2匹追加、3匹目は30cmほどでした。