■ホームエリアでフィナーレ! 「それを忘れちゃだめでしょう」

姫川本流。上流部は少し幅の広い渓流のようでいい雰囲気です

 運転しながら考えすぎて気持ち悪くなってきました。いっそ釣りをするのを止めようかとも思いつつ、ついに、というより途中で「これ以上考えても仕方ない」と悟り、ホームリバーともいうべき姫川水系で釣りをすることにしました。

 ここもイワナとヤマメ両方、さらにニジマスも釣れるエリアです。しかし完全に出遅れ、どこも釣り人だらけでした。実はとある支流には良型のヤマメがいるポイントがあり、何度も見に行ったり、フライを流したりしているのですが一向に釣れていません。しかも夏の終わりの頃から、他の釣り人をよく見かけるようになりました。案の定、この日も先行者ありでした……。

 そこで姫川本流へと向かいました。最大支流の影響で白濁りですが、合流点より上流は澄んだ流れです。美しい流れに意気揚々と河原に降りていくと、なんと! フライボックス(毛鉤を入れてある箱)がありません。昨晩、悶々としながらフライの整理をして、そのままテーブルの上に置いてきたようです……。

 幸い、車のなかには最近執心しているルアー一式が入っていました。騒つく心を落ち着かせてルアーロッドにラインを通します。小さなニジマスたちが盛んにルアーを追ってきてくれました。しかし、狙いは違います。

元は放流されたイワナのようでしたが、貫禄を感じさせます

 川が大きく屈曲した雰囲気のいいポイント。流れに馴染ませたルアーをじわじわとトゥイッチしていると、ひったくるようにイワナが飛び出しました。尾ビレの張った白っぽい魚体はイキがよく、数枚シャッターを切ったらさらりと身を翻して流れに帰っていきました。その後はたまに小さなニジマスが顔を見せてくれるだけでした。

 ラフティングの一団がやってきたのをキッカケに川から上がりました。ガイドは知り合い(カナダ人)で、ゲストたちは外国人。「釣れましたか?」と話しかけられ、「小さいですよ」と答える自分がなんだか切ない……。

 そんな訳で不完全燃焼のまま、けっきょくタイムアップです。やり切った感はあるのですが、このまま冬を迎えるのはやはり不本意です。わずかですが、まだ渓流釣りができる場所は残っています。虎視眈々と秋の釣行計画を立て始めました。“熱い”秋が続きそうです。