10月に入りました。秋になると渓流魚の多くは繁殖期を迎えます。そのため、各河川の状況に応じて渓流釣りは禁漁となっていきます。

 9月30日は全国的に渓流釣りの最終日となっている場所が多いです。渓流釣りを楽しむ釣り人にとっては「ついにこの日がやってきたか……」と感慨深いもの。月末の2日間、今シーズンの締めくくりとすべく長野県の東へ西へ、釣り歩いてきました。

※ 河川や漁協によりますが、本州ではイワナヤマメなどの渓流魚は9月中に禁漁となる釣り場が多いです。

■魚影は濃いけれど…… 「スレスレの魚たちに焦りばかりが募る」

雨が上がり、晴れ間が広がりだしました。秋の気配が漂う渓、そこにいるだけでも癒されるのですが

 まずは最終日前日の9月29日です。前回訪れたときに40cm近い立派なイワナを手にした「南佐久南部漁協」が管轄する千曲川上流部へと狙いを定めました。イワナとヤマメ両方、さらにニジマスも釣れるエリアで、千曲川を軸に数多の支流、さらにその支流と選択肢が無数にあるのも魅力です。

 天候条件も良さそうで、明け方にかけて程よく雨が降ってくれたため、魚たちのスイッチが入りそう。できれば、良型の幅広ヤマメ、鼻先の曲がったオスの婚姻色バリバリの……。そういう魚が釣りたい! 夢は膨らみます。

頭上を流れるフライに浮上してきたイワナ。しかし、それ以上に興味を持ってくれず、流れにゆらゆらと揺れていました

 小雨パラつく早朝から入渓しました。フライロッドを手に、いつになく慎重に釣り上がっていきます。しかし小さな魚たちはフライを観にくるものの、極めて反応が悪いです。ようやくイワナが一匹釣れましたが、これで満足できない自分が浅ましい。いや、これも禁漁直前だからでしょう。

 遡上魚が溜まる堰堤もいくつか越えていきましたが、普段なら顔を見せてくれるような魚すら、まったく反応がありません。どうやら貴重な朝イチのチャンスを逃したようでした。

 その後、移動して大物の可能性を探りますが、さすがは最終日前日です。平日にも関わらず、目ぼしい入渓ポイントの付近には車が停まっています。他県ナンバーも多く、どこに入っても誰かの後追いになりそう……。

 実際にスレスレの小さな魚たちがフライを見切っては帰っていく、そんな振られまくりの釣りにどんどん焦りばかりが募っていきました。

■優柔不断すぎな大移動! 「最終日のプレッシャーに押し負けそう」

日没もすっかり早くなりました。風に揺れるススキの穂を眺めながら、翌日の釣りの構想を練ります

 家には帰らないつもりで泊りの準備も車に詰め込んできたのですが、けっきょく帰宅することにしました。仕切り直しです。その道中もぐるぐると明日の釣り場について考えを巡らせます。泣いても笑っても明日が最終日(まだできる釣りはありますが)。我ながら優柔不断すぎるとは思いましたが、泣いても笑ってもあと一日しかありません。

 早朝、家を出てもまだ行き先が決まっていません。ひとまず自宅から西へと車を走らせました。運転しながらも頭のなかで候補地がいくつも浮上してきて、狙いが定められません。

 一番は秋ヤマメ(アマゴ)が釣りたいですが、なかなかいい場所が思いつかず、焦りばかりが募ります。

※ まだ解禁している渓流もありますし、通年で釣り可能な本流や北海道、自然渓流を利用した管理釣り場、冬季釣り場もあります。