■霧島連山の最高峰となる霧島市の「韓国岳」

もうひとつの日本百名山は、霧島市にある標高1,700mの韓国岳(からくにだけ)。天孫降臨の神話が伝わる霧島連山の最高峰だ。霧島連山は鹿児島県と宮崎県と県境に広がる山岳地の総称で、エリア内には大小20以上の火山が連なり火山活動によってできあがった火口湖がいくつもあることが特徴だ。
市街地から霧島連山の主要登山口を結ぶ霧島連山周遊バスが出ており、韓国岳の入山口となる大浪池登山口停留所まで楽にアクセスできる。また、鹿児島空港は霧島市に位置し、空港~登山口間は車で40分ほどの道のりだ。
■まずは大浪池までゆっくり登る

登山口から山に入り、まずは韓国岳の直下に広がる大浪池を目指す。はじめのうちは歩きやすい石畳の階段が続き、段差もゆるやかでゆっくりペースをあげていけるのがありがたい。森を通るルートには大きな赤松の木も多く、沿道のすぐそばで巨木を見ることができる。やがて道は石が転がる道へと変わり、小さな沢に架かる橋などを越えていく。
大浪池のほとりまで登り詰めると視界が開け、大浪池園地休憩所の小屋に到着。小屋の中には、大浪池ができるまでの成り立ち、植物や岩石、池にまつわる伝説などの情報が展示されていて霧島連山についてより深く知ることができる。


休憩所のすぐ先が大浪池。霧島連山にはいくつも火口湖が点在するが、標高1,239mに位置するこの池は日本屈指の高所に位置する火口湖だ。コバルトブルーの水面が神秘的で、池の周囲に整備された登山道のあちこちから湖を一望できる。また、池の周りは深い森が広がり、初夏はミヤマキリシマが咲き誇り、秋になると針葉樹に赤や黄色の紅葉が交じって火口湖の景色が鮮やかになる。
■韓国岳を目指して池の対岸へ

韓国岳に登る入り口はここから池の縁を移動した対岸にあり、東回りか西回りのルートを通って向かうことができる。今回通ったのは西回り。対岸までの所要時間は40分ほどだ。池の縁に沿って横移動するのでアップダウンがほとんどなく、ルート途中には大浪池が間近に見え、錦江湾と桜島まで一望できるビュースポットが点在している。


対岸が近づくと急な下りになり、えびの高原方面から来る道と合流するとその先に韓国岳に登る分岐がある。ここから先は韓国岳まで1時間ほど登りが続くので、ひと息ついてから山頂に向かう。

■連続する階段を登り詰める

森の中に整備された木の階段は、登りはじめは傾斜が緩いが、進むにつれて勾配がきつくなり段差も高くなる。ひたすら足を持ち上げて登り詰めていくと、灌木が多くなり、周囲の景色が見渡せるようになってくる。振り向くと先ほどまでいた大浪池が眼下に広がり、右手には蒸気をあげる新燃岳と、三角のピークが特徴的な高千穂峰(たかちほのみね)が見えてくる。

さらに進むと砂礫、そしてガレ場へと登山道が変化していき、最後に木々のない岩場を登りきると韓国岳山頂を示す道標が立っている。遮蔽物のないピークは、霧島連山をまるごと見渡せ、大小の火口湖も見つけることができる。大浪池の向こうには錦江湾と桜島、そしてうっすらと開聞岳の姿も見えた。また、韓国岳は直径900m、深さ300mもある火口をもち、道標の裏手に回るとその大きな火口を除き見ることができる。


なお、霧島連山は活火山なので、噴火警戒レベルの引き上げなど状況によって入山規制が行なわれる場合がある。天候チェックのほかに、火山状況についても事前に確認しておくことが大切だ。
<おすすめルート>
【韓国岳】
大浪池登山口 → 大浪池 → 韓国岳 → 大浪池登山口
(所要時間:4時間50分)
■百名山をはしごしながら満喫

九州の南端に位置する鹿児島県の空の玄関口となるのが鹿児島空港。羽田空港から1時間40分、セントレア(中部国際空港)から1時間20分、大阪空港(伊丹空港)から1時間10分ほどのフライトなので、思った以上に鹿児島県は近い存在だ。
また、鹿児島空港は霧島市にあり、韓国岳の登山口や霧島温泉郷の中心地である丸尾周辺までは車で30~40分ほど。指宿市は鹿児島空港から車、または高速バスと列車を乗り継いで2時間ほどでアクセスでき、指宿温泉を拠点にバスや列車で開聞岳をはじめとする各スポットに移動できる。

指宿市と霧島市は、どちらも鹿児島県有数の人気観光地。滞在にぴったりな温泉地もあり、日本百名山2座を踏破しながら疲れを癒せる。
また、薩摩国一の宮となる指宿市の「枚聞神社」と、大隅国一の宮の霧島市にある「鹿兒島神宮」は、現在、コラボ企画の御朱印を発行している。2つの御朱印を並べると鹿児島県の地図になり、それぞれの神社がある場所に鳥居マークが入っている。日本百名山がある2つの市をめぐりながら、薩摩・大隅両国の一の宮を参拝し、今だけの御朱印をいただくのもいい思い出になる。
【撮影協力】コロンビアスポーツウェアジャパン
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