■大雪山縦走の核心部をゆく

ヒサゴ沼避難小屋はコンパクトな小屋

 2泊で行く場合は次の宿泊地はヒサゴ沼になる。2日目の行程が少々長くなるので、3泊で刻む場合はその手前の忠別岳避難小屋までとする。いずれの小屋も無人の避難小屋で規模は小さめだ。

 そのため、宿泊者が多数の場合は小屋からあふれることもあるので、大雪山縦走では小屋泊の予定でもテント泊装備は必携となるので注意しよう。忠別小屋は小屋前に沢があるが、秋には水が涸れる。ヒサゴ沼は雪渓が遅くまで残るが、なくなった後は沼の水を使うことになる。

■難関のトムラウシ山を越えて

トムラウシ山の頂上

 3日目はヒサゴ沼を出発し、トムラウシ山を目指す。ヒサゴ沼に残る雪渓は大きく、遅い時期まで残っているので、8月でも軽アイゼンなどが必要になる。天気がよければ日本庭園やロックガーデン、北沼と、景色の良い見所が満載の行程だ。しかし、2009年の7月に起きたトムラウシ遭難事故の現場でもある。過去の悲惨な事故に学び、山では常に慎重な行動と判断を心がけたい。

 3泊の場合はヒサゴ沼には泊まらずに、トムラウシ山を越えた先の南沼野営指定地となる。携帯トイレブースがあるが、避難小屋はない。水場も8月以降は涸れてくるので、沼などの水を探すことになる。

 2泊3日の行程は、ヒサゴ沼からトムラウシ山を越えて一気に登山口まで下る。短縮登山口が近いのだが、公共交通機関はない。車を手配できない場合は短縮登山口ではなく、東大雪荘に降りることになる。

 旭岳スタートでも、トムラウシ山スタートでも通る場所は同じだが、進む方向が違うと感じる景色も異なる。何度歩いても楽しめる縦走路なので、両方向の縦走をしてみるのも面白いだろう。