日本百名山のひとつ、羊蹄山(ようていざん・1,898m)はリゾート地のニセコエリアでもひときわ目立つ山容の山である。ニセコエリアの最高峰、日本百名山ということもあり、夏山シーズンは多くの登山者で賑わう。

 登山道は4本あるが、山頂までの標高差があり、登るのは決して楽な山ではない。それぞれの登山道の特徴や夏山登山での注意点を紹介したい。

■“蝦夷富士”とも呼ばれる羊蹄山

羊蹄山最高点にある山頂標識

 羊蹄山は円錐形の成層火山。富士山によく似たその山容から、蝦夷富士(えぞふじ)とも呼ばれている。日本百名山に選定されていることもあり、夏山登山では人気の山だ。

 標高こそ2,000mを下回るものの、麓から登る標高差は1,500mを超える。ずっと登りが続くため、登るのは決して楽な山ではない。9合目に避難小屋がひとつだけあるが、その近くにある水場も通常7月中に枯れてしまう。ひたすら登って行く忍耐の山だが、その分山頂から見下ろす景色は高度感にあふれた絶景が広がる。

■4つの登山道

ヒラフコースの登山口は「半月湖野営場」から

 羊蹄山は倶知安町(くっちゃんちょう)、喜茂別町(きもべつちょう)、真狩村(まっかりむら)、京極町の境界となっており、それぞれの町村に登山道がある。4つの登山道はほぼ東西南北に分かれ、山頂部の外輪へ突き上げるように道がつけられている。同じ山を登るので、どのコースも同じような急登が続くが、若干の違いや特徴はある。

 真狩村の「真狩コース」は4つのコースの中では比較的急登が少なく、登山道も歩きやすい。駐車場も広いので、もっとも一般的なコースと言える。

 「喜茂別」コースはダイレクトに外輪の最高点である山頂に至るが、急登のイメージが強い。難点は駐車スペースが狭いことだろう。

 「京極コース」も駐車スペースは広くはないが、比較的登山者の少ないコース。静かに登りたい人には良いコースだろう。

 倶知安町の「ヒラフコース」は真狩コースと並ぶ人気の高いコース。高山植物の花々が多いコースだ。