12月になると朝晩の冷え込みが一段と増し、水辺を渡る風にも冬の気配が色濃く感じられるようになる。日中の陽射しが弱まり、確実に本格的な冬へ向かっている。こうした時期は釣り物がぐっと少なくなるが、それでも楽しめる釣りがある。そのひとつが「寒タナゴ釣り」である。
寒タナゴとは12〜2月の寒の時期に釣れるタナゴのことで、低水温の影響でウキに出るアタリは極めて繊細。しかし、その小さな変化を捉えてハリ掛かりさせる過程にこそ魅力がある。
そんな冬の釣り場としておすすめなのが、千葉県野田市の「WakuWakuField 野田幸手園(のださってえん・以下、野田幸手園)」である。都心から近く、管理釣り場ならではの設備が整っており気軽に楽しめる。
さらに、これから迎える年末年始の釣り納めや釣り初めにも利用しやすい場所である。本記事では、冬ならではの繊細なアタリを追った寒タナゴ釣りの模様と、その魅力を紹介したい。
■都心から90分、冬でも気軽に訪れられるタナゴ釣り場
野田幸手園は、江戸川と水門でつながる五駄沼(ごだぬま)を浚渫(しゅんせつ)・整備して造成された管理釣り場で、広々としたヘラブナ釣り場の隣にタナゴ専用の釣り場が設けられている。
幅2〜3mほどの水路状の釣り場には乱杭が点在し、岸辺にはアシが揺れるなど、管理釣り場ながら自然の水辺に近い風情を味わえるのが特徴である。
釣り場は都心から車で約90分とアクセスがよく、元旦(1月1日)を除き年中無休で営業している。休日の遊漁料は1,200円(平日は1,000円)と手頃で、女性や子ども向けの料金に加え、半日券(午前11時〜)も用意されている。
さらに、釣具一式のレンタルがあり、事前連絡をすればスタッフによる釣り方のレクチャーも無料で受けられる。朝9時までの受付で温かい弁当(カレー、牛丼など)を注文できる点も、冬の釣行にはありがたいサービスだ。
野田幸手園で釣れるタナゴはすべてタイリクバラタナゴ(外来種)で、釣った魚の持ち帰りは禁止されており、元気なうちに水へ戻すことがルールである。
■わずかな揺れを読む静かな勝負が寒タナゴ釣りの魅力
寒タナゴは、冬ならではの繊細さが際立つ釣りである。水温が下がるとタナゴの活性は落ち、アタリは極めて小さくなる。水面のウキがほとんど動かないことも多く、頼りになるのは水中に並ぶ糸ウキのわずかな揺れだ。この微細な変化をアタリとして見抜き、アワセを入れる。その静かな勝負こそが寒タナゴ釣り最大の魅力といえる。
今回、筆者が使用した仕掛けは、親ウキの下に視認性のよい6個の糸ウキを連ねた連動シモリウキ仕掛けである。春から秋の活性が高い時期であれば、水中の糸ウキはもちろん、水面の親ウキもピクピクと大きく反応する。しかし冬のタナゴはエサをくわえても糸ウキだけが横へ微かに揺れる程度である。瞬きする一瞬でも見逃してしまうため、ウキの動きに集中し続ける必要がある。
また寒の時期、タナゴは水温が少しでも高く、水温変動の少ない居心地のよい場所に群れで溜まる習性がある。群れを見つけられれば数釣りが楽しめるのも醍醐味だ。静かな冬の水辺で、わずかなウキの揺れに神経を研ぎ澄ませる時間は、寒タナゴ釣りならではの味わい深いひとときである。