知床といえば「自然が豊かなところ」というイメージが強いだろう。しかし、観光やアクティビティでいつかは行ってみたいとあこがれる一方、手付かずで残る自然に脅威を感じる人も多いかもしれない。何度も訪れている道民の筆者でさえそう感じる場所なのだ。
知床は観光名所やキャンプ場も野生動物たちの生息地。訪れた人間は「おじゃまする」という意識を持ち、定められたルールに従うことが重要だ。
今回は筆者が実際に訪れてよかった、おすすめのキャンプ場と温泉情報を紹介する。特に野生動物との遭遇のなかで、気になると思われるヒグマについては、何度か目撃したり出合ったりしている。ヒヤリとさせられる体験もあるので、参考にしてほしい。
■知床に着いたらまず立ち寄りたい場所

知床では野生動物に遭遇する確率が高い。なかでもヒグマの生息数は知床半島(斜里町・羅臼町・標津町の3町)に400〜500頭と、世界屈指の生息密度となっているのだ。知床の玄関口に位置する「道の駅 うとろ・シリエトク」の隣にある「知床世界遺産センター」では、ヒグマや野生動物の実物大写真や模型をはじめとした情報をもとに、遭遇した際の守るべきマナーやルールが学べるようになっている。知床に着いたらまず立ち寄りたい場所だ。
知床世界遺産センター
住所 〒099-4354 北海道斜里郡斜里町ウトロ西186-️10
電話 0152-24-3255(8:30~17:30)
ホームページURL:知床世界遺産センター|世界自然遺産「知床」・北海道
※営業日時はホームページよりご確認ください
■ヒグマの出没が多い時期・場所は?

鮭が遡上する2023年の秋頃(11月初旬)に2泊3日で知床を訪れたときのこと。冬ごもりを前に、ヒグマたちが活発にえさを求めて行動する実りの秋とはいえ、川辺や海辺の周辺で10頭は目にした年があった。何度も知床を訪れているが、頻繁に姿を目にするのでさすがに驚いたのを覚えている。
夏(7月末)の早朝にも車で走行中、道路を横断したり、道路脇で石の下にいるアリを食べている親子グマに遭遇したことがある。
臆病で暑さに弱いといわれるヒグマ。観光客や車が少ない時間、涼しい早朝や夕方は要注意だ。
知床ではヒグマと車の衝突事故にも注意する必要がある。そんなとき、クラクションを鳴らしたり、車外へ出て写真を撮るといった危険行為は絶対にしてはいけない。どんなときもヒグマが優先ということを忘れずに、ゆっくり道路を横断していくのを待つのがよい。

知床には絶景スポットが多いため、車から降りて記念撮影をする観光客の姿を多く目にする。そんなときも注意が必要だ。筆者がゾッとする体験をした場所は、知床八景で知られる「プユニ岬展望台」。駐車スペースに車を停めて撮影を楽しんだあと、車に乗り込もうと向かったすぐそばにある橋の下にヒグマがいたのだ。その距離は約40メートル。知床では観光中もヒグマに人の気配を知らせるホイッスルが欠かせないと感じた出来事だった。
このように、至近距離でヒグマに遭遇してしまった場合は、騒がず、ゆっくり車の中や安全な場所に避難すること。ヒグマが出没した場所や写真など、情報を知床財団に提供することも考えておきたい。
なお、知床国立公園では、ヒグマへの餌やり・接近・つきまといといった行為について規制の対象となっており、場合によっては30万円以下の罰金の対象となっている。