■いよいよお楽しみのフォトセッション!
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途中で何度か休憩をはさみながら3時間ほど歩いたところで、「ここは、前から目をつけていたナイショの場所なんだよな」 マモさんが、うれしそうにつぶやきます。そんなとっておきの「秘密の雪園」を滑走するのです。まず、カメラマンの航さんが滑り、撮影ポイントの下見を行います。そして、準備ができたところで順番にドロップ! 見ているだけでとても軽いパウダーで満たされていることがわかります。次々と大きなスプレーを気持ちよさそうに巻き上げています。
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私も、自分なりに良い滑りをしようと、普段よりも緊張しながらスタート。イイ感じです。よし、もっとかっこよく! と気合を入れすぎたところ、派手に転倒……。そんなシーンまで、ガッツリ写真に収められてしまいしたが、これも楽しみの一つ。動画と違い、静止画はほんの一瞬の動きが決まればそれでよし。「転倒前のバランスを崩した時が、意外とベストショットになることがあるんだよ」と航さんに励まされ、気持ちを切り替えて再び滑り込みました。
■プロカメラマンとイメージを共有しながらの撮影
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プロカメラマンによるフォトツアーは、単に滑走シーンを撮影してもらうというわけではありません。「光がないから日が差すまでちょっと待とう」などと“光待ち”をすることも。実際の撮影現場では、太陽が出てくるのを2,3時間も待つこともあるそうです。自分がちょっとプロライダーになったかのような気分にもなりながらフォトツアーは続きます。
また、「ここのバンクに当て込んで滑って」「そこのリップの上ギリギリを滑ってきて」「この木の右側から回り込んできて」などと航さんからのオーダーが出されます。皆さんは、それに応えて、クールに技を繰り出しています。一方、私は、そんな余裕は全くありません。転ばないように必死に滑るだけです。しかし、でき上がった写真を滑走後に見てみると、航さんの考えていたことがわかるような気がしました。「航さんの言う通り、ここで一番踏み込んでおけばスプレーをまき散らすことができたのに」と反省することしきりです。スキー雑誌などで見る、思わずよだれが垂れてしまいそうな滑走シーンは、スキーヤーとカメラマンが、ともにイメージを共有して瞬間を切り取った唯一無二の作品なのだと改めて感じました。
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この日は、マモさんとっておきのフィールドに案内していただき、すばらしい雪質の中でのツアーは無事終了。皆さん、今の自分の最高の姿をカメラに収めてもらえたようです。下山後は、喫茶店でさっそくミニ鑑賞会を開催。互いに「おぉ~、かっこいいなあ」などと小さな歓声を上げて解散となりました。
「毎年、これやりましょうよ」 マモさんが航さんに話しかけていたのを私は聞き逃しませんでした。来年も参加している私がきっといるに違いありません。