「長野県の名物は?」と聞かれたら、「蕎麦」や「おやき」、「野沢菜」などが思い浮かぶ人は多いのでは。でも長野県は、47都道府県のなかで4番目に面積が広く、8つの県と接しているのでその土地ごとの名物がある。地域に密着した「道の駅」ではそんな隠れた長野県のソウルフードが味わえる。
そこで今回紹介したいのが、長野県の北信エリアにある「信州新町」と「中条」の道の駅。現在はどちらも長野市に含まれているが、かつてはそれぞれが独立した町村だった。善光寺がある長野市中心部から西側に位置し、山間部が広がることからこのエリアは「西山地区」と呼ばれている。その西山地区に定着した食文化をそれぞれの道の駅で味わうことができるのだ。
■「道の駅 信州新町」は、長野県で「第1号」の道の駅

長野県の北部に位置する信州新町は、現在は長野市に含まれる地区だが、もとは上水内郡(かみみのちぐん)という地方自治体にあるひとつの町だった。町内には犀川に沿って国道19号が通り、高速道路が整備されるまではこの道が長野市と松本市を繋ぐ街道として重要な役割を果たしてきた。現在も生活道路やトラック輸送などの物流道路として利用され、車の往来が多い主要道路だ。そんな交通要路に位置している休憩施設が「道の駅 信州新町」だ。
この道の駅は、長野県下ではじめて道の駅として登録された施設。道路沿いに掲げられて看板にも「長野県登録第一号」としっかり書かれている。
■名物はジンギスカン

信州新町では昭和初期から羊毛のためにたくさんの羊が飼育され、ジンギスカン料理も食べられるようになった。化学繊維の普及で毛用の羊飼育は減ってしまったが、ジンギスカン料理は定着し、羊の品種もサフォークを導入。
そのおいしさの広まりとジンギスカンを名物にしようと尽力した人々の思いとともに、国道19号道沿いにジンギスカン料理の店舗が増えたことからこの地域の国道は「ジンギスカン街道」と呼ばれている。そのジンギスカン料理が食べられるスポットのひとつが「道の駅 信州新町」なのだ。

道の駅で売られているジンギスカンは、長野県内のスーパーなどでよく見かける商品から、「道の駅 信州新町」にしか卸していないものまで多種多様。しょうゆやみそなど味付けもさまざまで、「ジンギスカンって、こんなに種類があるんだ」と驚いてしまう。マトンやロース、軟らかくてクセの少ない肉を使ったものなどがあり、たくさんの種類から選べるので自分好みのジンギスカンが見つかりそうだ。
■野菜や地元特産品を使った製品も充実

信州新町は梅の栽培も盛んで、道の駅では地元産の梅を純米吟醸酒で浸けた「新町梅酒」を開発。これが好評でさらに「蜂蜜梅酒」も登場し、シリーズ化されている。ほかにも梅を使ったクラフトビール「UME-ALE」など、地元農産物をおしゃれに変身させたアイデア商品が揃っている。
山間部で傾斜地が多い西山地区は稲作に不向きだったため、昔から豆などの雑穀類などが栽培されてきた。品質のよい「西山大豆」もこの地域の特産品。売店には大豆のほかに、さまざまな豆が売られており、量も多くてお得感がある。




■食堂でジンギスカンを実食!

売店と隣接する食堂コーナーでジンギスカン料理が食べられるというので、さっそく食べてみた。ジンギスカンは単品で売られており、ごはんセットがプラスできる。甘辛いタレで味付けされたジンギスカンは、歯ごたえがしっかりしていて羊肉らしい独特のうまみが味わえる。
ほかにも食堂では、石臼でひいた「ひきたて・打ちたて・茹でたて」が自慢の蕎麦や、ほうろくで両面に焼き目をつけた「焼きおやき」などが味わえる。また、羊肉を使ったジンギスカンのおやきも売られており、蒸したやわらかいタイプのおやきの中に肉がたっぷり入っている。