ゴールデンウィークが過ぎ、初夏の爽やかな陽気が心地よく感じられる季節となった。筆者がタナゴ釣りでよく訪れる水郷地帯の水路も、水温の上昇に伴ってタナゴたちの活性がぐっと高まり、まさに絶好の釣りシーズンを迎えている。

 しかし、この時期は田んぼでの代掻きや田植えが盛んに行われ、水路の水が濁りやすく、タナゴの活性が落ち込むことも。また、農作業の最中に田んぼの周りで竿を出すのは、どうにも気が引けるのだ。

 そこで今回は、そんな心配をせず、気兼ねなくタナゴ釣りが楽しめる千葉県野田市の管理釣り場「WakuWakuField 野田幸手園(のださってえん・以下、野田幸手園)」へと足を運んだ。初夏の日差しのもと、果たしてタナゴたちはどんな姿を見せてくれたのか。その釣行の模様をレポートする。

■都心から車で90分、小さな癒しのタナゴ釣り場

野田幸手園の事務所外観。ここで受付けを済ませてから釣り場へ移動する

 今回訪れた「野田幸手園」は、江戸川のほとりにたたずむ、のんびりとタナゴ釣りが楽しめる憩いの釣り場だ。広々としたヘラブナ池に隣接するタナゴ釣り場は、川幅2~3mほどの小さな水路。乱杭が点在し、岸辺にはアシが揺れ、まるで自然の中で野釣りを楽しんでいるかのような心地よさを味わえる。

野田幸手園では野釣りを思わせる景色の中でタナゴ釣りが楽しめる

 ここで狙えるタナゴは、鮮やかな体色が美しい「タイリクバラタナゴ(通称オカメ)」。繊細なアタリが釣り人を夢中にさせる人気のターゲットだ。ただし、釣ったタナゴはすべてリリースがルールとなっており、持ち帰りはできない点には注意したい。

野田幸手園で釣れるタナゴはタイリクバラタナゴ。釣ったタナゴの持ち帰りは禁止されている

 都心から車で90分という好アクセスに加え、休日の遊漁料金は1,200円(平日は1,000円。女性・子どもの料金設定あり)とリーズナブル。釣具一式(竿、仕掛、ウキ、エサ、魚入れ、魚外し、スカリ、折り畳み椅子)のレンタルも用意されており、初心者でも気軽に楽しめるのがうれしい。さらに、タナゴ釣りは初めてで釣り方が分からない場合でも、受付の際にスタッフにお願いすれば、無料で釣り方のレクチャーを受けることもできるのでとても心強い。

野田幸手園の営業時間と遊漁料金(2025年5月時点の情報)

 ひとり静かに釣り糸を垂れるもよし、親子や友人、カップルと笑顔を交わしながら楽しむもよし。初夏の風に吹かれ、小さなタナゴたちとの出会いに心癒やされる、そんなひとときを過ごすのにぴったりの場所である。

■常連客のタナゴの好釣果に胸高鳴る!

この日、奥に見えるタナゴ桟橋の手前のエリアでタナゴがよく釣れていた

 この日、筆者は半日券(午前11時〜午後3時半)で、のんびりとタナゴ釣りを楽しむ計画だ。少し早めに現地に着き、遊漁券を購入したあと、まずは釣り場の様子をのぞいてみることにした。ゴールデンウィークとあって、場内は家族連れや常連らしき釣り人たちで賑わい、思い思いにタナゴ釣りを楽しんでいる。

 受付で聞いた話によれば、ここ最近は釣り場の西側にある「タナゴ桟橋」の手前付近が特に好調とのこと。その言葉通り、桟橋の手前には竿を並べる人々の姿が目立つ。その中で、明らかにベテランと思しき常連客の動きに目をとめた。竿をひっきりなしに上下させており、魚のアタリが多いことが見てとれる。挨拶を交わしたのちに状況を聞いてみると、なんと、半日(4時間ほど)の釣りで、すでに1束(いっそく=100匹)を超える釣果とのこと!  期待は一気に高まった。

 しかし話を続けると、午前10時頃までは連発だったものの、その後はペースが落ちたとも。これから釣りを始める筆者としては、ちょっぴり不安がよぎる。それでも、話を終えた直後にもさっそくタナゴが釣れている。これなら、きっと自分にもチャンスはあるはず。そんな期待と不安を胸に、いよいよ釣りを始めることにした。