“ハクノリ”の愛称で知られる長野県の「白馬乗鞍温泉スキー場」は、いくつものスキー場が点在するハクババレーエリアのなかでも北側に位置し、日本海が近いことから積雪が豊富なところ。天然雪100%のゲレンデは、初心者から中・上級者まで対応するバリエーションに富んだ12コースを取り揃えている。ゲレンデ直結の「白馬アルプスホテル」で快適に滞在できるうえ、冬季は屋外エリアのプールサイドでDJイベントを開催するなど、特別な体験も味わえる。これらすべての極上体験を泊まって、たっぷり満喫してきたレポートを紹介していこう。

■朝イチは、積もりたてのパウダースノーをいただき!

日差しで雪が輝く幻想的な早朝からさっそくパウダーランに挑む

 訪れた日の早朝、小雪がちらつくスキー場に繰り出すと、雲間から注ぐ日差しにキラキラと雪が輝く幻想的な風景が広がっていた。「空からダイヤモンドが降ってくるみたい」と、気持ちの良い滑り出しだ。

 前日の寒波でゲレンデにはたっぷりの雪が積もっているので、まずはアルプス第3高速ペアリフトに乗ってパウダーを狙うことにする。このリフトからは、「ハイウェイコース」、「エキスパートコース」、「スネークコース」、「カモシカコース」などの中・上級コースに滑り込め、非圧雪エリアが充実しているのだ。

降雪後の雪を堪能できる最高のロケーションで非圧雪を満喫
雪が多くてスピードダウン。体が雪に埋るほどの雪の深さに驚き

 比較的、斜度がゆるめの「カモシカコース」に滑り込むと、斜面一面はふかふかの新雪。しかも底付きがしないので浮遊感を味わえる。いち早く斜面に滑り込んだほかのパウダーフリークたちの歓喜の声があちこちから聞こえてくる。

 斜度が緩んだところでストップしてしまうと、膝上まで埋まるほどの雪が深い。「今日はたっぷりパウダーが楽しめそう」とがぜんやる気がわいてくる。

最大斜度35度の「エキスパートコース」は広さもあって、ダイナミックなパウダーランを楽しめる
100%天然雪の「白馬乗鞍温泉スキー場」

■名物コースにも挑戦

ゲレンデ屈伸の急斜面「スカイビューゲレンデ」

 このスキー場の名物といえば「スカイビューゲレンデ」。ゲレンデ最上部に位置するため、眺望も雪質も最高なロケーションだ。降雪後は一面がパウダーに覆われるので、今回のようなタイミングでは「絶対にはずせないパウダースポット」として足を延ばすことにした。

 最大斜度が38度もある急斜面であり、幅が250mもあって開放的。広さのある斜面とあって、まだトラックのないフレッシュパウダーがあちこちに残っている。

 気持ちよくスプレーをあげて滑走するエキスパートを横目に、自分のペースでゆっくりと小さなターンで斜面を降りていく。途中で何度も止まりながら滑ったが、斜度があるので埋もれて動けなることもなく休み休み滑走を楽しむことができた。

ゲレンデ下部よりもさらに雪が深く、病みつきになる浮遊感を味わえる
あちこちに非圧雪エリアが点在

■ビギナーにも優しい斜面が充実

ちびっこ広場「ムービングベルト」を利用してスキー・スノーボードの練習もできる

 パウダーに恵まれた今回は、かなり非圧雪エリアばかりを攻めたが、「白馬乗鞍温泉スキー場」は、初級者やファミリーにも優しいコースがちゃんと充実している。

 例えば、ゲレンデベースにあるキッズパーク「ちびっこ広場」では、雪遊びやソリのほか、ここでスキー・スノーボードを練習することも可能。ちびっこ広場「ムービングベルト」が新設されたので、斜面の登りもグッと楽になった。

独立したエリアで安心して練習ができる「はくのりファミリーコース」
レベルを問わず楽しめる「若栗中央ゲレンデ」。コース途中から「クロスコース」を滑れる

 独立したエリアにある「はくのりファミリーコース」は、平均斜度5度の緩やかでフラットなコース。初心者やキッズのスキー・スノーボードの練習にぴったりな場所で、白馬三山のひとつ、白馬鑓ヶ岳を見ることができるスポットでもある。

 そして、スキー場のメインゲレンデとなる「若栗中央ゲレンデ」には、「クロスコース」を設置。ウェーブやバンクを滑るうちにスキー・スノーボードに慣れていけるので、楽しみながらステップアップしていける。

 また、「白馬乗鞍温泉スキー場」は隣接する「白馬コルチナスキー場」とコースが連結。共通リフト券で2つのスキー場をワイドに滑ることだってできるのだ。

ワイドに滑れる共通リフト券

■「アルプス第11ペアリフト」で、山頂の展望も楽しもう

山ノ神リフトの通称もある「アルプス第11ペアリフト」 ここから絶景を観に山頂へと向かう

 「ラビットコース」上部に架設されている「アルプス第11ペアリフト」は、通年楽しめる山岳観光リフト。このリフト山頂からの眺めも見に行くことにする。

 リフトが架設されているエリアはスキー場管理区域外となるため、一般的なゲレンデのリフトとは異なりここにはコースは設定されていない。あくまで山頂の眺望を楽しむために利用する観光用のリフトという位置づけなので、リフト乗車の際は乗り場に滑走用具一式を置いていかなくてはいけない。

リフトで山頂に向かうとゲレンデから山岳エリアへと雰囲気が変わっていく
標高が上がるにつれて展望が開けてくるので、リフト乗車中の景色は感動ものだ

 「アルプス第11ペアリフト」は、バックカントリーエリアへのアクセス用としても利用できるが、その場合はリフト乗車時に同意書の記入とエリアアクセスのための腕章を初回のみ購入(1,000円)する必要がある。詳細は公式ホームページで詳しく説明されている。

 リフト乗車中は北アルプスや山麓の村を一望できる眺めが最高。リフトの終点は標高1,598mに位置し、広場のようなスペースが用意されている。ここから妙高山や雨飾山、戸隠山などの山並みを見渡せ、空気が澄んだ日には日本海まで見ることができる。この景色を楽しむだけでも十分の満足度だ。

山麓とは違った別世界を味わえる「アルプス第11ペアリフト」山頂にぜひ出かけてみよう
「アルプス第11ペアリフト」の詳細はこちらをチェック

■ゲレ食は、海鮮が充実

「刺身定食」など、日本海の糸魚川港や能登漁港から運ばれてきた海鮮が味わえる

 そして今回、とっても楽しみにしていたのがゲレンデのランチ。2023-2024シーズンから、ゲレンデ山麓のレストラン「スノードロップ」がリニューアルされ、新潟県の糸魚川で水揚げされた海鮮メニューが提供されるようになったのだ。

 「白馬乗鞍温泉スキー場」は日本海が近いという立地だけあって、山にいながら新鮮な海の幸が食べられる。とくに冬が旬の寒ブリは丸々と肥えて脂ものっている。ズワイガニやマグロ、甘エビ、黄金いくらど、多種多様な丼ぶりメニューが揃い、さまざまな海鮮を味わえる「刺身定食」もある。

カニなどのさまざまな具材を盛った「糸魚川海鮮丼」など、贅沢などんぶりが揃っている
地元名物を味わえるボリューム満点の「山賊揚げカレー」

 ほかにもレストランでは、うどんやラーメンの定番メニューや、長野名物の山賊揚げをトッピングしたカレーなどの地元の郷土料理も楽しめる。こうしたメニューには、サラダやおしんこ、みそ汁がサービスで付いてくるというのもうれしい。しかも、みそ汁は日によって魚のアラが使われているので贅沢感がある。

海鮮が充実したスノードロップ