■錆防止に効果的な洗車方法

 愛車を錆から守るうえで最も大事なのは、こまめな洗車だ。洗車と言ってもボディをピカピカにするだけではなく、大事なのは車両下廻りの入念な洗浄だ。

●高圧洗浄機を準備しよう

高圧洗浄機と散水ノズル

 ガーデニング用の散水ノズルでも下廻りの洗浄はできるが、ノズルの長い高圧洗浄機があれば体を濡らすこともなく、よりきれいに洗うことができる。

 ノズルが真っすぐなタイプだと入り組んだ部分を洗うのが難しくなるので、角度の付いたものがおすすめだ。噴射範囲を挟角〜広角に可変できると、なおよいだろう。

 挟角噴射にすると水圧が高まり、車両の状態によっては塗装を剥がしてしまうこともあるので、注意が必要だ。洗車で高圧洗浄機を使用する際は、広角(低水圧)寄りで使用するとよいだろう。

 備え付けの設備で自らが洗車をするようなコイン式洗車スペースを利用する場合は、噴射範囲が広角に可変ができる設備が備え付けられているか確認するようにしよう。

●錆びやすい箇所  その1「サイドシル」

下回りを洗車する際には、角度のついたノズルが活躍する

 下廻りの車両側面に当たる部分「サイドシル」は錆やすい箇所だ。走行中に巻き上げた小石などで塗装が剝がれやすく、剥がれた鉄製のボディパネルに直接融雪剤が付着することで錆が発生する。そのため、サイドシルは自動車を使用する環境によっては、前述したリアの足回りより錆が進行しやすい。

 車両の表からだけでなく、高圧洗浄機や散水ノズルを車両の下に入れ込み、できれば内側からも洗うようにしよう。

●錆びやすい箇所  その2「ホイールハウス」

可変ノズルの広角噴射であれば、入り組んだ箇所もきれいに洗える

 ホイールハウスとは、サスペンションの上下動やハンドル操作でタイヤが余裕をもって動けるように設けられた空間。

 ホイールハウスの内側は袋状になっている箇所もあり、付着した融雪剤が落ちにくく錆びやすいため、入念な洗浄が不可欠だ。

 高圧洗浄機を使用する場合、ノズルを挟角にして噴射すると、高い水圧でホイールハウス内の軟質の防錆塗装を剥がしてしまう恐れがあるので注意しよう。

●錆びやすい箇所  その3「リアの下廻り」

サスペンション周りは入り組んだ構造のため、入念な洗浄が必須だ

 最も錆が発生しやすいのが、リア側の下廻りだ。サスペンション周辺や、ボディの剛性を担保するフレーム部分は、錆が進行して穴が空いてしまうと車検に通らなかったり、修理しようにも多額の費用がかかる場合もあるため、日頃から気を配っておきたいところだ。

 サイドシルやホイールハウス同様に、高圧洗浄機や散水ノズルを使って広範囲を入念に洗うようにしよう。

●融雪剤を散布する地域では、下廻りの錆止め処理がおすすめ

下廻り塗装に特化した塗料も多くある

 愛車を錆から守るためにはこまめな洗車が不可欠だが、なかなか時間を割けなかったり、下廻りの洗浄ができる環境がない場合は、プロに下廻りの錆止め処理を施工してもらうとよいだろう。

 完全に錆を防止することはできないが、頻繁に洗車をせずとも錆の進行を大幅に遅らせることができる。塗装にて錆止め処理をする場合は黒色の塗料を使用することが多いが、元整備士の筆者としては、クリア系の塗料がおすすめだ。

 クリア系の塗料であれば塗膜下の錆の発生を確認でき、手遅れになる前に錆の進行を遅らせる薬剤を塗布するなど、手を打つことができる。

■融雪剤や潮風による錆から愛車を守る

 融雪剤と無縁の地域の方でも、スキーやスノーボードに出かけ融雪剤が頻繁に散布される寒冷地の高速道路を走行した場合や、海釣りに行き潮風にあたった際は、早めに下廻りを洗浄しよう。

 自動車の寿命はエンジンなど機械系の不具合に加え、錆によるボディの剛性不足で短くなることもある。日頃からの下廻りを中心としたていねいな洗車や、防錆処理を施すことが愛車を長く乗り続ける秘訣なのだ。