■おすすめ3. 越後駒ヶ岳(えちごこまがたけ):稲穂が輝く魚沼平野を見下ろす
山岳信仰の頂2,003mへ

ルート:【日帰り】枝折峠←→駒ノ小屋←→越後駒ヶ岳←→枝折峠
時間:10時間
技術:★★☆☆☆ 体力:★★★★☆
紅葉の適期:9月中旬~10月中旬

山頂は右上のうっすら雲がかかった頂。その下に駒ノ小屋がある

●ポイント! 標高1,065mから楽しめる越後の紅葉

 八海山、中ノ岳とともに越後三山のひとつに数えられる新潟の名山。魚沼平野から見上げるその山容は、ひと際堂々とし、古くから山岳信仰の舞台として地元民の信仰を得てきた。日本百名山のひとつで、雪が遅くまで残り、夏は暑い。ゆえに涼しく、紅葉が美しい秋をめがけて登山者がどっと集まる。

 山頂直下の駒ノ小屋にはシーズン中、管理人が常駐しているので、食料と寝具を背負ってのんびり1泊で紅葉を楽しむ山行もおすすめ。最短かつもっとも人気のルートは標高1,065mの枝折峠からのピストンだ。標高差1,000mに満たないが距離が長いので、余裕を持った行動を。

 枝折峠は滝雲で有名な観光スポットで、週末は駐車場が混み合うため、平日の入山が◎。

明神尾根からは、越後三山&日本二百名山の中ノ岳がよく見える
山頂には五穀豊穣を願って建立された豊雲野神・像がある

●CHECK! 奥只見湖を覆う雲海の名所

登山口の枝折峠

 地元魚沼市の後押しもあって、登山口の枝折峠は雲海・滝雲の撮影スポットとして人気。とくに紅葉時期の週末は、三脚持参のカメラマンで賑わう。小出駅から路線バスが運行する。

●ルートMAP

■おすすめ4. 八海山(はっかいさん):八つの岩峰を越える越後を代表する修験道

ルート:【日帰り】山頂駅→千本槍小屋→大日岳→千本槍小屋→山頂駅
時間:8時間
技術:★★★★☆ 体力:★★★★☆
紅葉の適期:9月下旬~10月中旬

八つ峰から見た千本槍小屋。麓には魚沼平野が広がる

●ポイント! 心拍数が上がる岩稜の紅葉狩り

 越後駒ヶ岳、中ノ岳と並ぶ越後三山のひとつ。魚沼平野に切り立った岩峰は、古から地元民が心を寄せる山岳信仰の場だ。クサリやハシゴがかかる八つの岩峰を越えるクライミング要素たっぷりの岩稜歩きである。

 標高1,150mの八海山ロープウェー山頂駅から森の中を歩く。ナナカマド、カエデ、ブナなどの紅葉が緊張する心を穏やかに。千本槍小屋からいよいよ岩場へと突入。落石の危険があるので、ヘルメットの着用を推奨する。原則的に大日岳への稜線は一方通行で、譲り合いの精神でゆっくり歩こう。岩場から視線を上げれば、巻機山や越後駒ヶ岳などの新潟の名山が手に届くところに聳える。

 下山は、西側についた迂回路を戻るが、足元は切れ落ちているので油断禁物。

高低差770mを約7分で一気に上がる八海山ロープウェー。運行日は要確認
ロープウェー山頂駅から千本槍小屋までは高低差の少ない森歩き

●ルートMAP

■おすすめ5. 平ヶ岳(ひらがたけ):往復12時間! 登山口も遠い! 秘境中の秘境、最難クラスの百名山

ルート:【日帰り】鷹ノ巣登山口←→池ノ岳←→平ヶ岳
時間:12時間
技術:★★☆☆☆ 体力:★★★★★
紅葉の適期:9月下旬~10月中旬

姫ノ池の池塘群と山頂。名前の通り、まさに平ヶ岳だ

●ポイント! 雲海に浮かぶ2,000mの池塘群

 山頂部に広大な高層湿原が広がる標高2,140mの平らな山。小屋やテン場がいっさいなく、往復12時間の長丁場を日帰りでしかアタックできないことから「最難関の百名山」と言われる。新潟と福島の県境にある鷹ノ巣登山口までのアクセスも遠い。まさに秘境の紅葉登山だ。

 尾瀬・燧ヶ岳を眺めながら岩が露出したやせ尾根から高度を上げる。豪雪に削られたいくつもの険しい谷が朝日を浴びて朱色に輝く。水場を経て、ようやく池ノ岳に乗ると、青空を映す池塘群となだらかな山頂がお出迎え。木製デッキに腰を下ろせば、しばし昼寝をしたくなるような別天地。

 池塘を縁どる草紅葉に見とれるあまり、山頂を踏む時間を忘れることもしばしばなのでご注意を。

台倉山付近から燧ヶ岳を望む。左手には只見川が削った渓谷美。人工物が一切ない
只見川の上に広がる雲海と朝日を背にして下台倉山をめざす。日の出とともに出発したい

●ルートMAP

 

【soto 2022 秋山より再編集】