筆者は山梨県に20年住んでおり、これまで、他県出身のさまざまな友達や親戚に県内を案内してきた。なかでも喜ばれるのが、地元民以外には知られていない秘境めぐりである。

 今回は見応えのある神社・仏閣を満喫しながら、ハイキングもできる一石二鳥の秘境を紹介したい。これから秋に向けて涼しくなり、木々も鮮やかに色づくため、より一層道中を楽しめるはずだ。秋の山梨観光の際に、ぜひ各所をめぐってみてほしい。

■【片道20分】天狗に見守られながら、渓谷沿いの参道を満喫できる「大嶽山那賀都神社」

大嶽山那賀都神社

 大嶽山那賀都神社(だいたけさんながとじんじゃ)は、国師ヶ岳(こくしがたけ)の麓に位置し、富士開山前の修行場とされている神社だ。御祭神としては、それぞれ開運福徳・五穀豊穣・薬仙を司る三神を祀っている。

 この神社には、駐車場から社殿まで、片道20分ほどの参道がある。少し汗をかく程度のなだらかな坂道となっており、渓谷の穏やかな景色を満喫しながら、気持ちよくハイキングができる。

 境内に入ると、巨大な錫杖(しゃくじょう)や剣などのさまざまなモチーフがある。なかでも、目を引くのがこの神社で神様の使いとしている、立派な天狗の像だ。御朱印も、天狗のデザインが選べるようになっている。奇数日・偶数日でもらえる御朱印が変わるため、御朱印集めをしている方にもおすすめだ。

 渓流沿いであるため、参道にはやや滑りやすいところもある。訪れる際には、履きなれた運動靴でいくのがよいだろう。

大嶽山那賀都神社
住所 〒404-0206  山梨県山梨市三富上釜口617
電話 0553-39-2825(8:30〜16:00)

ホームページURL:https://nagato-jinja.jp/

●【MAP】大嶽山那賀都神社

■【片道40分】富士の神を祀る「河口浅間神社」を出発点に、「天空の鳥居」をめぐって、心洗われる「母の白滝神社」へ

母の白滝神社(写真提供:北河口湖観光協会)

 河口浅間神社(かわぐちあさまじんじゃ)は、864年に発生した富士山の大噴火を鎮めるために建立された神社だ。境内には立派な大樹が数多く植えられている。なかでも、山梨県の指定天然記念物となっている「七本杉」は1200年もの長きにわたり、この地を守ってきた聖樹だ。

 裏手の山宮社から続く道を進むと、20〜30分ほどで天空の鳥居に辿り着く。富士山をバックに写真が撮れる絶景スポットの1つで、近年ではSNSでも話題となっている。山梨に来たら、一度は立ち寄ってほしい場所だ。

 さらに、天空の鳥居から10分ほど進むと、母の白滝神社に到着する。河口浅間神社の後祭神の義母神を祀っていることから「母」の白滝と呼ばれている。また、滝は富士登山前の禊(みそぎ)の地とされており、多くの登山客が心身を清めてきた。

 このように、河口浅間神社から母の白滝神社までの道中は、数々の美しい名所を一続きで見ることができる。秋には紅葉に彩られより一層輝きを増すため、ぜひ楽しんでいただきたい。

河口浅間神社
住所 〒401-0304  山梨県南都留郡富士河口湖町河口1
電話 0555-76-7186(9:00~16:00)

ホームページURL:https://asamajinja.or.jp/

●【MAP】河口浅間神社