■自然と共生してきた本能を呼び覚ます

 進化したテクノロジーのおかげで、街の生活では「安心・安全・快適」が約束されている。この3つのキーワードは一見すると素晴らしいものに思えるが、その環境下では人間としての「本能的快楽」が欠落してしまう。なにかが物足りなく、楽しくなく、不自由なのだ。

 例えば、今はキャンプや登山もブームだが、そこは“自然”が舞台なので「不安、危険、不便」な世界が展開している。では、なぜ街の人があえて「安心、安全、快適」を離れて、その世界に身を投じるのかといえば、街では味わえない本能的快楽があるからに他ならない。

 元々、人間は自然と共生してきた生物だ。集団で村を形成しつつも、山や海の恵みをいただきながら「社会と自然のバランス」を保って生きてきた。およそ40万年前に人類が誕生してから、ほんの数百年前まで、ずーーーーっとその暮らしをしてきたのだ。進化したテクノロジーによって安心・安全・快適な暮らしを始めたのは、ついこないだのことだと言っていい。

 現代人に足りてないものは、明らかに自然との適度な触れ合いだろう。長い時間、自然と共生してきたのだから当たり前のことだ。それはもう、人間の遺伝子に刻まれた有無を言わさぬものなので、理屈で語れることじゃない。

 川原にテントサウナを設営し、薪が燃える音を聞きながら汗を流し、川や湖に潜り、そして木漏れ日の中で外気浴をする。川の音と鳥の声。意識が体から離れて浮かんでいるような、それでいて「自分が自分の真ん中に戻っていくような」感覚。それは街では感じられない、本能的な快楽と安堵の時間となる。

本来の自分を取り戻せる時間。それは理屈では表現できない本能の快楽だ

■“真のととのい場”は、アウトドアサウナにあり

 現代人が偏ってしまいがちなものが2つある。1つは交感神経と副交感神経のバランス、もう1つは社会と自然のバランス。これらを戦略的にととのえることができる場所。それがアウトドアサウナの世界だ。単なるアクティビティではなく、社会生活に疲れた現代人にはなくてはならない存在である。

 まだ体験したことがない方は、ぜひ自然の中でのサウナを楽しんでみてほしい。なにも難しいことを考える必要はない。自然が勝手に人間の本能を目覚めさせてくれる。そこは街の暮らし以外にある、あなたの大切なサードプレイスとなるはずである。