■静岡おでんのお供は緑茶ハイ!

 ツアーを終えた私たちは、一杯飲もうと静岡駅近くの飲み屋街に立ち寄った。1軒のおでんやの暖簾をくぐると、カウンターの中にはかわいらしいおばちゃんが。

 「瓶ビール2本とグラス4つ」とお願いすると

 「緑茶ハイ飲まないの?」とおばちゃん。

 「さすが静岡だね。ビールの後は緑茶ハイお願いするね」というと、

 「うちはね、38年間やってるけど、大高茶園(聞き間違いだったらごめん)ひとすじだから」とおばちゃん。

 東京では緑茶ハイといってもペットボトルの緑茶を使う店ばかりだが、静岡では必ず、当たり前に茶葉から入れた緑茶を使う。どの店も、ひいきの茶生産者や製茶問屋がある。茶どころ静岡県の飲食店は、使う日本茶で個性を発揮する。

おでんやのお茶目でかわいらしいおばちゃんと

 おばちゃんが用意してくれるおでんと緑茶ハイに舌鼓を打ちながら、さっきのツアーを振り返る。

 今日のようなツアー、東京とか都会の茶販売店を招待したほうがいいんじゃないかな。製茶問屋から仕入れるだけのところも多い。生産地のことを実感として知るお茶屋さんは少ないと思う。売る人は作っている人を知るべきだ。今日出会った行政担当者に提案してみよう。なにしろ彼らは本気だから、きっと耳を貸してくれるはず。

 気がつけば夜8時過ぎ。そろそろ東京に戻ろうか。静岡は近い。1時間半で日本橋のおちゃらかに戻れる。静岡の日本茶関係者に出会って、それぞれの本気を見て、改めて力が湧いてきた。静岡をはじめ日本各地の茶産地と茶葉の魅力を伝えるのが私の仕事だ。店に戻って自分の仕事をしながら日本茶業界を活性化する方法を私なりに考えよう。

 

写真/ステファン・ダントン 編集協力/田村広子、スタジオポルト

「ステファン・ダントンの茶国漫遊記」vol.58(2020.3.16)

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(東京メトロ日比谷線、都営浅草線「人形町」駅 A3出口)

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