■「さくらねこ」が平和に暮らすエリア

 もう一つ、石垣島には忘れてはいけない島猫エリアがある。夕焼けスポットとして人気のサザンゲートブリッジを渡ったところにある人工島の八島公園。釣りやバーベキューを楽しむ人が訪れるこの公園には、たくさんの「さくらねこ」がボランティアさんの世話を受けながら平和に暮らしている。

耳先が桜の花びらのようにカットされている八島公園の「さくらねこ」

 さくらねことは、不妊手術を受けて、その証として耳先をさくらの花びらのようにカットされた猫のこと。数年前までこの島では、捨てられた猫たちが大繁殖していたのだが、2012年に行政、NPO、市民らの恊働によって大規模なTNR(捕獲・不妊手術・元いた場所に戻す活動)が行われた。

 それまで、不妊手術をした野良猫は全国的に「耳先カットねこ」と呼ばれていたのだが、ここ石垣島で「さくらねこ」と新たに命名されたそうだ。そこには、桜の開花前線が北上するように、猫たちの命をつなぐこの取り組みが、全国に広がっていってほしいという願いが込められている。

かつては全国的に「耳先カットねこ」と呼ばれていた
石垣島で命名された「さくらねこ」。その後ろには、一代限りの命を優しく見守る人たちがいる

【琉球島猫百景 vol.3 石垣島〈1〉(2017.9.22)】