■昭和チックな空気感は猫たちにも心地よい
石垣島は、このコラムの島猫を撮影している写真家、仲程長治の故郷だ。彼のテリトリーは生家と実家のある「字石垣四町内(あざいしがきよんちょうない)」と呼ばれるエリアなのだが、そこは同時に多くの島猫たちのテリトリーでもある。
民家の塀の上や道端で出会う島猫たちにレンズを向けると、「ずまぬぴとぅりゃ(どこの人か)!」と言わんばかりに睨みを効かせてくる輩が多い。
このエリアには昔ながらの赤瓦家や井戸のある家もまだ多く、島で一番古い酒造所や小さな商店、御嶽(うたき)なども点在している。生活の匂いがする住宅街をのんびり散策していると、ここで暮らしたことのない人でも不思議と懐かしい気分にさせられる昭和チックな空気感は、島猫たちにとっても心地よいに違いない。