白砂の道に福木と島猫。「琉球島猫百景」にふさわしい風景

 那覇の泊港から朝9時発のフェリーに乗り込み、北風の白波に揺られて約2時間。“沖縄でいちばん遠い島”とも言われる渡名喜島(となきじま)に初めて降り立った。港を拠点として広がる唯一の集落には福木に囲まれた昔ながらの赤瓦の屋敷が点在し、久しぶりに「ああ、沖縄にいるなぁ~」という感覚が蘇る。

 宿となる古民家に荷物を置いて、まずは何の情報も持たずに、島猫との出会いを求めてふらふらと散歩に出かけた。福木の並木道は真昼であっても薄暗く、涼しい風が通り抜けて心地よい。歩き始めて数分、猫の気配を感じて視線を先に向けると、1匹の白猫が白い砂の道を横断していた。

最初に出会ったなちぶ~(泣き虫)顔の白猫。福木の陰に隠れて「なにしてるの?」と目で訴えてきた
縁側でお昼寝中。干された網がいい目隠しになっていた
軒先で涼んでいたオバー猫。年老いた島猫も多い島だ