■人間だけの登山との決定的な違い
特に今回は、練習程度の軽い登山という油断もあった。「このくらい余裕だろう」と思い歩いていたが、気づけば呼吸は乱れ、足を持ち上げるたびに太ももの疲労感を感じ始めていた。
しかし、途中で振り返ると、景色はすばらしい。むつ市街地と陸奥湾。遠くには大湊基地も見える。こうした景色を見ると、「やはり来てよかったな」と思う。
ただ、こちらのペースは確実に落ちていた。歩行時間は約1時間、到達したのは第二リフト付近。スキー場中腹あたりまで歩いたことになる。距離だけ見ると、それほどハードな登山には感じない。しかし、犬連れになると話は変わる。この時、「この先、本当に安全に戻れるか?」と考え始めていた。
■「行けるか?」より「戻れるか?」を考えた
第二リフトから先は、さらに斜度はきつくなる。足場も単調ではなくなり、上の方はヤブも増えてくる。春の山ということもあり、ダニも気になった。
自分一人の登山なら、進んでしまう場面かもしれないが、犬連れとなると、「もし途中でマリィが疲れて動かなくなったらどうするのか」など、考えるべきことが一気に増える。
2歳で元気な豆柴とはいえ、犬は突然ペースが落ちることもある。まして山道で抱っこして下山することになれば、こちらの負担は一気に増える。この時点で自分の太ももにもかなり疲労感が出始めていた。
「行けるか?」ではなく、「安全に戻れるか?」今回はその点を最優先し、頂上まで行くことを断念した。
■下りでわかった“本当の疲労”
登頂を諦め下山を開始したのだが、下りはかなり足にきた。下山はもともと膝や太ももへ負担がかかる。しかし今回は、犬の動きにも気を配りながら歩く必要があり、想像以上に足への疲労が残った。
下りでは着地の衝撃も膝へ伝わる。さらに滑らないよう踏ん張るため、太ももへの負荷も強くなるのだ。特にスキー場の斜面は、土や砂利が浮いている場所もあり、神経を使う。マリィも途中からは慎重に歩いていた。
今回の釜臥山でわかったことは、犬連れ登山では人間の体力管理がより気をつける必要になるになるということ。犬は楽しくなると予想以上に動く。そして、そのペースに付き合うと、人間が先に疲れてしまう。また、登山では「安全に戻れるか」の判断が重要となるため、無理は禁物なのだ。
今回は途中で引き返したが、これは失敗ではなく、次につながる経験だったと思う。いつか岩木山へ。まずは“無理しない犬連れ登山”を覚えることが必要なのだと、今回の釜臥山で実感した
なお、釜臥山では犬連れ登山を禁止する案内表示は見当たらなかったが、今回はリードを使用し、排泄物も持ち帰った。他の登山者はいなかったが、犬連れで山を歩く以上、最低限のマナーや周囲への配慮を忘れずにしたい。