◼️過疎が観光業に与えるさまざまな影響
そもそも、過疎のなにが継続的な観光に影響するのかを考えてみましょう。
ひとつは、宿や観光施設の後継者不在や人員不足です。地域を成り立たたせるために必要な生業はなにか、限られた労働人口をどこに振り分けるのか、一次産業と観光業、暮らしと観光業どちらが地域に必要なのかがネックとなってきます。
龍神村には、自然豊かな地域で運営しているキャンプ場がいくつかあります。先日、その中のひとつが地域の高齢化などで引き継ぎ先を探していて、結局、村の若者たちで作った会社で引き継ぐことになりました。美しい里山と鮎が泳ぐ清流がすぐそばにあり、キャンプ場を囲む棚田では農業体験もでき、エコツーリズムには最適な魅力的な場所が廃業せずに済みそうでホッとしています。
しかし、実際に管理や整備をするための労働人口の不足をどうやって解決するかという問題が出てきました。この問題に対して、「僕がやります!」と簡単には言えない葛藤があります。他にやりたいことがたくさんあって、管理人という“待ち”の仕事よりも、“動き回ってお客さんを呼んでくる”のが僕のやるべきことだと思っているからです。実際、僕が以前にエコツーリズムの活動拠点にしようと開業したカフェは、なかなか営業日が確保出来なくて閉店してしまいました。
同様の葛藤は、むらおこしをしようと日々努力している皆さんも持っていると思います。
メディアを通じて地域の魅力を広報して、観光に来てもらい、写真を撮って終わる。そんなひと昔前の定型の観光では、今の田舎の観光業は成り立ちません。観光客自身が、じっくり時間をかけて考えて自ら魅力を発見し、地域との繋がりを感じる体験をする。そんな滞在&体験型の観光こそが、現代のエコツーリズムです。それがリピーターや関係人口づくりに繋がっていくと実感している毎日です。
◼️龍神村ではこんな取り組みをしています
より繋がりの濃い観光人口を作るためには、今後は訪れるゲスト側も、おもてなしするホスト側も、お互いに顔が見える観光が必要ではないかと考えることもあります。そのためには、会員制にしたり、一見さんお断り的なクローズドなコミュニティによる予約制というやり方もあるでしょう。
その点、龍神村全体の方向性としては、今のところは体験型のトレイル整備や、自然の中で子どもたちが学びながら遊べるインタープリテーションを軸に据えています。これらの資源は、エコツーリズムに向いている龍神村ならではの観光資源といえるでしょう。
僕個人の意見としては、“観光と一次産業を繋げること”が、観光業人口が少ない過疎地域が目指すべきエコツーリズムの流れではないかと思います。
具体には、単純なお客さんとしてではなく、自然豊かな田舎で暮らすような旅を体験してもらい、龍神村を第二の田舎のように感じてくれる関係人口を増やす。彼らが村を定期的に訪れたり、野菜や文化的産業といった“田舎の恵み”をおすそ分け(購入する)することで、龍神村を支援する信頼関係を築きたいのです。そして可能性があれば、2拠点生活や移住の候補地として考えてもらえるような流れに繋げられれば最高です。
例えば、前述したキャンプ場の管理人は合間時間で畑を管理して、キャンパーに販売できるできる野菜を作りつつ、農業体験ができるような環境も用意できれば効率的ではないかと考えています。僕はさつまいも農家もしていますが、収穫体験はとても人気です。体験を機に、僕が育てたさつまいもを買いたいと指名買いして下さる方もいます。
うちの畑は都会のやきいも屋さんと共同で運営しているので、フェスなどのイベントに一緒に出店し、店頭で龍神村の話をしながら販売をしています。さつまいものクラフトビールも作りました。このように、新しく何かを作るのは時間がかかりますが、地域にすでにある一次産業に魅力を付加してエコツーリズムとして育てられれば、地域ごとの農業が“ならではのエコツーリズム”になり得ると僕は思います。
豊かな森林を水源とする清流が里山に恵みを与えてくれて、僕らはおいしい食べものを頂ける。田舎では当たり前に営まれている一次産業は、水源の森を守る林業、自然との繋がりを感じ恵みを育てる農業、そしてエコツーリズムへと繋げられれば、都会で暮らす方々には大きな魅力になるのではないでしょうか。